2014年のmusipl.comでの3月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 澤野弘之
『MOBILE SUIT』
 飲食店をやって分かったこと。流動的な客は食べログの★3.5以上を信頼するが、熱心にレビュー書く側の人は、書く目的で次の新しい店を常に探していて、高評価つけてもすぐの再来は無い。「店員最悪。もう行かない」「満足!次は大盛を」とか文字並べても、関心は次の店探し、食べログそんなもんよ。 運んだ食事の写真も撮らないで、三日にいっぺん仕事帰りに来てくれる常連が付いてくれてネットの採点に… (レビュアー:北沢東京)
 

 
2位 エレファントカシマシ
『悲しみの果て』
 3年前のあの日、僕は下北沢で揺れを感じ、停まった電車を諦めて8.5km先の家に向かって歩き始めました。ただ家族のことだけが気がかりで、奥さんに電話をするもつながらず。ただひたすらに歩き、電話をかけ続けたのを思い出します。時間が経過しようやくつながり、家具は倒れたものの怪我も無いと聞き、ホッとしながら夕食のことを考え始めました。まだテレビの映像など見る前のことです。その後の情報からすれば… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 小沢健二
『夢が夢なら』
 小沢健二、というアーティストを巡っては難渋な自/他鏡像性を帯びる。こちらが「こう、想っているだろう」ことを先読みして、不思議なエゴ・オリエンテッドなブービートラップを仕掛けたりする。90年代という幸せな瀬に彼は『LIFE』というダイレクトに、幾多のオマージュに溢れた晴れやかなアルバムとともに、躁的にポップ・スターとしての宿命を背負った。そして、ジャズ、ニューウェーヴへの傾ぎ、寡作化… (レビュアー:松浦 達
 

 
4位 Anco.
『雨粒ごしのworld』
 関西で活動中のシンガー、Anco.さん。軽やかで艶っぽくて伸びやかな声は聴いていてとても心地良い。ロックバンドならライブハウスで経験を積んで名を挙げてというストーリーが(一応)あったりするけれど、こういうポップスシンガーはどういうサクセスストーリーを描けるのでしょうか?彼女もライブスポットでピアノ弾き語りライブを重ねているようですが、こういうバンドサウンドの編成での活動はそれなりに… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 コアラモード
『Hello Hello Hello』
 この軽快なポップチューンは一体なんなんでしょうか。あんにゅさんのボーカルも可愛くてステキだし、完成度がとても高くて、動画と呼べるのかどうか微妙でしたが、紹介したいというこの衝動を押さえきれません。小川美潮や矢野顕子などのハイセンスで個性豊かなボーカリストの系譜に入れてもいいのではないでしょうか。そういう系譜に入るボーカリストは往々にして特徴だけが突出して実力が伴わないものです。でも… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 佐々木健太郎
『STAY GOLD』
 子供や学生たちだけじゃなくても、大人になっても春という季節には何かと変化や気持ちの変動は伴う。特にこの三年、日本というあらゆる場所で迎える春は平準に捉えられるべきものばかりではないだろうし、世知辛い事柄も尽きないだろう。アナログフィッシュというバンドはキャリアを重ねる中で、幾多の困難を経ながらも今も前線に立ち、着実な活動を続けている。リリカルな表現からメロウで優しいセンス… (レビュアー:松浦 達)
 

 
7位 青空教室
『あの丘をこえて』
 北海道で活動中の青空教室。抑えの利いたファンクなリズムとギターがとてもオシャレ。2月に発売されたばかりの自主CDの1曲目に収録されたこの曲、CDではギターを何本か重ねてあり、かなり重厚でニヤリとさせられるフレーズも織り込まれててかなりの意欲作。ベースがブインブインと鳴っていて、腹の奥にドシンとパンチを打込まれたかのような迫力があります。このライブ映像では2階から覗き見たような… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 Kalan Ya Heidi
『メープルのマーブル』
 チャーミングな声の女性シンガー2人をフィーチャーした流動的なポップスユニットとして活動しているグループの作品。複数人存在しているソングライターチームの、ベースとなっているセンスが共通して、ポップスへの深い愛情と理解に溢れていて、曲が鳴っている数分間を至福の理想郷への旅に連れて行ってくれる。特別奇をてらうようなテクニックを見せるわけではない、どちらかといえばシンプルでミニマルな甘いメロディと、それを華やいだものにするアイデアに… (レビュアー: 松尾宗能 for Parks Records)
 

 
9位 藤原さくら
『Goodbye』
 何かを諦めたかのようなテンションの声。でもそれはけっして絶望なんかではなく、淡々と過ぎる日々の早さを冷静に眺めながら、落胆も浮立つこともせずに伸びていく、今風の若い心を象徴しているような気がするのです。アコースティックギターをつま弾きながら軽やかに歌う様はPriscilla Ahnが登場してきた時のことを思い出させます。YouTubeにもう1曲上がってる『Ellie』という曲は英語で歌われていて洋楽そのもの… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 sayoko-daisy
『warm lights』
 彼女にお会いしたのは、2013年の3月、奈良の老舗レコード・ショップ、ジャンゴ・レコードの25周年のイベントの際で、初ライヴというその場でも細野晴臣さんの「冬越え」をカバーしていたが、「誰がどう言っても自分の中では細野晴臣さんが男前で、一番なんです。」という矜持と、別次に会った折、WIREでのジョルジォ・モルダーの感想を嬉々と語るさま、音楽遍歴そのものも興味深かった。しかし、自身の音楽の中に… (レビュアー:松浦 達)
 

 
次点 しげるドロップ
『遊泳禁止』
 ひたすら繰り返されるギターのリフとシンバル多用のドラムの音の速さ。それとは対照的な白玉的にゆっくりとしたテンポのベースが生み出す奇妙なグルーヴを感じます。この歌で語られている夏の海って、夏休みを象徴するような不思議なゆったり感の中にもとても切ない、燃え上がらない焦燥感があったなあと、あのココナッツオイルの匂いのような記憶と共に思い出されます。その感覚がサウンドとなって迫ってくるのか… (レビュアー:大島栄二)