2016年のmusipl.comでの2月アクセス数上位10レビューはこちら!

 
1位 Inside of the door
『33番地』
 彼らの曲はライブ会場にいくか彼らのHP通販で買うかしか入手方法がない。この楽曲クオリティであるにもかかわらず。はるか昔は音源を買ってもらうためにライブをやっているというのが音楽ビジネスの一般的だったのだが、最近はライブに来てもらうために音源や、無料動画などを駆使して関心を持ってもらうのが当たり前になってきている。そうなってくるともはや音源を売るということにあまり重きを置かない… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 hotspring
『Touch Me I'm Sick』
 ハードな音当りながらも歌のメロディが豊かで、各楽器の奏でるフレーズもキャッチーなこのバンド。2007年に大分で結成でもうかなりのバンド歴があるのだが、そのメロディアスさとハードさは以前からずっと変わらない。だが5年以上前の曲を聴いてみるとどこかしらゆったりとしたリズムで歌われていて、今聴くと歌謡曲的な印象を受けたりもする。だが今年早々に公開されたこの曲を聴くとテンポもかなりアップされていて… (レビュアー:大島栄二
 

 
3位 GRASAM ANIMAL
『熱海でバカンス』
 熱海とかバカンスとか、この10代の若者たちは何を時代錯誤な用語を持ち出しているんだと正直思うが、サウンドを聴いたらそのノスタルジックなメロディと相まって、ああこういう言葉も世界観を完成させるためのパズルの1ピースなんだなあと理解できそうな気がする。それとも今の10代には再び近くのリゾートとして人気なのだろうか? それはよくわからないのだけれども、このすっとぼけた雰囲気の歌もバンドも… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 中島みゆき
『麦の唄』
 メガ・ヒット曲、知名度があっても、どこかひねくれ、尖り続けながら、確実に多くの人たちの背中を押すアーティストとは考えるになかなか居ないが、それでもやはり、中島みゆきの情念、バイタリティは日本の中で渦巻く集合的な言語化しきれない無意識の言語化できない葛藤や行き場のない想いをどこか代弁するようで、突き放し、考えさせる懐の深さがあるのかもしれない。こんな世知辛い瀬に、彼女の唄は… (レビュアー:松浦 達
 

 
5位 スーパーアイラブユー
『ハッピーエンドでよろしく』
 人生なんて究極の自己肯定のための限られた時間だと思っている。そのために、人は金を持とうとしたり、経歴を持とうとしたり、宗教に頼ったりする。しかしどれだけ金を持ったところで際限はなく、どんな肩書きを身につけたとしても上には上があり、多くの宗教が存在するということは正解の宗教というものも存在しないということであり、だから客観的な尺度を用いた自己肯定など永遠に完成し得ないということもまた事実… (レビュアー:大島栄二)
 

 
6位 こうなったのは誰のせい
『相思相愛』
 ブレイクが多くてビックリする。イントロからアコギバンドですかという感じの静かな演奏で始まり、バンドサウンドが一斉に鳴り始めて歌が進行する。2分40秒ほどしたところでAメロに戻って、そこが最初アコースティックだけで進行していたパートなのだが、バンドサウンドでは息継ぎをするかのように全楽器がブレイクする。それを、感情表現の新形態と考えるのもいいし、ちょっとやり過ぎと考えるのも聴く人の自由だ… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 THE Ruee
『I am Sick』
 バンドの特徴が歌に求められるのはいいのだが、それならば別にロックでなくとも歌謡曲でよかろうというケースが多々ある。それは要するにロックである必然性がサウンドに存在していないということなのだろう。ではバンドである必然性のあるロックサウンドとは一体何なんだと考え始めてみても、明確な答えなどは絶対に出てこない。そこには歌詞の内容やメンバーの生き様なども絡んでくることだからである… (レビュアー:大島栄二)
 

 
8位 yonige
『アボカド』
 バンド名がどんどん変な方向に行くのは、やはり検索してもらってナンボという考えが浸透しているからでしょう。昔だったらそれバンド名なのかと思うような、文章ですかというようなバンドもたくさん出てきて、じゃあかえって短いバンド名の方が目立つんじゃないのと思ったりもするけれども、短くてありふれた名前であれば、やっぱり検索で引っ掛からなくてソンだったりします。そりゃそうでしょう… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 みるきーうぇい
『カセットテープとカッターナイフ』
 美形ボーカルがかなりロックなギターリフをかましていて、一見アイドルバンドの新しいバリエーションかと思ってしまうが、よく聴くとそんなのではないらしい。アイドルの付け焼き刃でこういう演奏にはとてもならない。だがそれ以上に耳を惹くのは歌詞だろう。この曲以外でもかなりショッキングな言葉が並び、いい加減に聴き流すことなど難しい。過激な言葉を敢えて選んでセンセーショナルに作品を仕上げているのか… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 イエスマン
『Googleダンス』
 ポップですな。キュートな女性ボーカルが歌い踊ってポップなメロディに乗って昨今の世情とも絡めた歌詞がさほど重くもなく流れていって、本当に間口の広いポップな曲だしビデオだしバンドだと思います。で、こういうのを見たらどこかのプロデューサー様がうまく集めて作り上げたのかなとかオッサンは邪推してしまいますが、ググっていくとそんな簡単な話でもなさそうで、その前のビデオはこんなに… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 ガール椿
『テーブル』
 感動の合唱ソング。いや、ロックバンドのナンバーにそんな言葉は相応しくないと言う人もいるかもしれない。が、考えてみてくれ。バンドがライブを催す場合一本調子の曲ばかりでは客も飽きる。いろいろなシナリオはあるものの、最初に勢いのある曲で盛り上げ客席を温め、中盤でひと呼吸おくためにバラードを入れ、エンディングではみんなが一緒に歌える曲で感動の大円団を迎える、とそういう定番の展開を実現…  (レビュアー:大島栄二)
 

 
編集長コメント

1位 Inside of the door『33番地』:レビューもずっとやってきて、1度紹介したらもう終わりというのでは、活動して新しい音楽を発表しているアーチストのいい曲を埋もれさせるということにもなるので、過去にレビューしたアーチストの別曲を再びレビューするということを始めています。このInside of the doorもかつて紹介していて、今回が2回目。そのレビューがこうしてアクセス1位になるというのはなんか感慨ありますね。これからも新しいアーチスト、2度目のアーチスト、3度目のアーチストと、わけへだてなく良い曲を紹介していきたいと思います。

2位 hotspring『Touch Me I'm Sick』:カッコいいバンドといっても人それぞれカッコよさの定義は違うだろうし、だからやっぱり聴いてみなければ他人が言う「カッコいい」は信用できなかったりします。このhotspringのカッコよさはどうでしょうか? シンプルなスタイルでシンプルなロックを奏でているだけで、それが良いと思う人も良くないと思う人も様々なんでしょうけども、僕は絶対の自信で「これカッコいー!」と叫びたいのです。年々複雑で難しげなロックが増えてきている昨今、こういうドストレートなロックはやっぱり良いものです。

3位 GRASAM ANIMAL『熱海でバカンス』:19歳らしいですよこの人たち。それで熱海っていうセレクトが秀逸だし、曲の構成もテイストもすっとぼけたように聴こえつつもかなりの技量。強者たちだと感じます。

5位 スーパーアイラブユー『ハッピーエンドでよろしく』:このレビューがmusiplとしての777個目で、そういう順番だからやはりラッキー感満載の曲が良いかなと思っていろいろ探した結果のこの曲。でも曲をよく聴いているうちに、そんなにラッキー感満載って感じではないなと気づきました。でも、よくよくよく聴いているとやっぱり良い歌だし、やはりこれを777本目にしようと思ったわけです。ラッキーとは自分が考えている理想が手に入ることと思いがちだけれども、実は自分の状況を、理想とは違っていてもこれで良いんだよと思えることこそラッキーの真実なんじゃないかと思うのです。だからこれがアクセス上位に入ったことは僕としても嬉しい限りでした。

10位 イエスマン『Googleダンス』:8位9位10位と女性ボーカルの曲が入ってきて、8位と9位は結構前のレビューということで、この10位のイエスマンの曲でまとめて触れたいなと。昔のレビューが掘り起こされるように復活してアクセスを集めてランクインするというのはとても良いことだなあと思うのです。オリコンの世界では新譜が出たタイミングのせいぜい2週間くらいが勝負だけれども、そういう一部ザ芸能界的な音楽以外は一度作った曲を長い間歌い続けてちょっとずつ広めていく、知ってもらうという活動をする必要あるし、だから、musiplのようなレビューサイトの記事も、レビューされた瞬間だけの告知で終わるのはアーチストにとってもすごくもったいないし、活用してもらえればなあと思うのです。もっともそれは誰かが気づいてSNSなんかで拡散しないといけないし、ファンの誰かが気づいてくれないんだったらアーチスト自身が気づいて広める活動をしないといけないのでしょう。musiplでは勝手にレビューをやっているので、レビューされたことも知らない(ように見える)アーチストもたくさんいます。気づいても「イイね」はするのにリツイートやリプライはしないというアーチストもたくさんいます。もったいないな、なんだろなそのナイーブさはと思います。まあそういうアーチストはmusiplだけじゃなく他の記事などもそうやって拡散&告知のチャンスを失っていくのでしょうから、結果的に伸びていくチャンスを失うんだろうという気がします。今回のイエスマンのボーカルの人はちゃんと気づいて引用リツイートしてくれて、そういうのも10位にランクインしてきたひとつの要因だったと思います。曲良いし、声良いし、存在がキュートだし、頑張って自分をもっともっとアピールして、多くのファンを獲得していってもらいたいなと密かに思います。

 個人的な話ですが、2月の終わりに事故に遭って骨折しました。骨折って不便ですね。それでもまあなんとかやっておりますが、musiplへのアクセスが2月は少しばかり伸び悩んでて、そっちの方がちょっと痛いですね。まあ、他の月よりも日数が少ないというのも大きな要因なのですが。そんなわけで、骨折のお見舞いは別にいりませんので、その代わりではありませんが、毎日、いや3日に1度でもみなさんにアクセスしていただければ嬉しいです。お願いしますお願いします。

(大島栄二)