2016年のmusipl.comでの10月アクセス数上位10レビューはこちら!


 
1位 ヤバイTシャツ屋さん
『あつまれ!パーティーピーポー』
 元気だな。元気なのはそれだけで良いな。こういう中身無さそうだけど元気だけは120%あって盛上がりは完全保証でライブ会場を盛り上げに盛り上げる、という音楽はヒップホップ界隈には結構あるけれども、ロックバンド界隈には意外と無くて、そういうのが出てきたな〜というのがとても嬉しい。もはやちょっと下火になりつつあるEDMの流れにキャッチアップしようとしたのか、多くのロックバンドはとにかくBPMを上げて… (レビュアー:大島栄二)
 

 
2位 RCサクセション
『ヒッピーに捧ぐ』
 お別れは本当に突然やってくるものだよなあ。本当に突然に。この曲を初めて聴いた時にその意味なんてリアルに感じられるわけも無いのに、そうだよなあとなんとなく感じて、いざ本当にお別れが突然やってきた時に、彼が歌う「30分泣いた」という言葉の、時間を区切った悲しみという表現の凄みに恐れ入る。涙をふいて電車に乗り込んだ。本当にそうだ。日常は構わずに続いていくし、続いていくのが残された側のリアルだと思う… (レビュアー:大島栄二)
 

 
3位 ENTHRALLS
『きょうはうまく眠れない』
 ENTHRALLSは気になるバンドだ。ボーカルの井上佳子は髪の毛が金髪の時もあれば黒い時もあり、長い時も短い時もある。女性ボーカルにとって髪型はイメージを司る重要な要素で、これを変え過ぎることはイメージが定着しないというマイナスに容易につながる。たかが髪型、されど髪型。一度どこかで見た時の印象が、次に見た時にまったく活かされないというのは一種致命的な損失につながる可能性が否定できない… (レビュアー:大島栄二)
 

 
4位 ircle
『光の向こうへ』
 明るく前向きなロック、といえばいいのだろうか。投げる球種はストレートだけですというような印象で、ひねくれ加減だけで勝負するバンドが多い中、こういう曲には逆に好感が持てる。でも、いや待てよ、ircle(アークル)ってどちらかというとひねくれというか、歌詞にも曲調にも一筋縄じゃいきませんよという反骨精神が溢れまくっていたバンドじゃなかったか? プロフィールによると2001年に… (レビュアー:大島栄二)
 

 
5位 The Lemon Twigs
『These Words』
 やばい新人が現れた。これは大注目! 彼らはダダリオ兄弟から成るグループだ。もう名前からしてかっこいい。なんかジャンプとかで敵役として出てきそう。曲は成熟したサイケポップが基調だ。単純に音からしてカラフルで楽しい。メロディもまたうつくしく、後半のたたみかける展開もすばらしい。ただものじゃない。とても十代とは思えない。そして見た目もやばい。恰好やらたたずまいもすごい。なんか…  (レビュアー:夜鍋太郎)
 

 
6位 MARQUEE BEACH CLUB
『eye』
 このいきなりサビみたいなギアMAX。でもサビじゃない。というかもはやサビとかいう概念はあまり関係ないような気がする。冷静になって聴けば全楽器がリズム隊となってファンクなビートを奏でていて、それに全体が引っ張られるというか、うねりを作って押し出ていくというか。これをグルーヴという言葉で片付けるのは簡単だが、そんな簡単なものでも無いような気がする。全楽器がリズム隊となっているとさっき書いたが… (レビュアー:大島栄二)
 

 
7位 HONEBONE
『満月こわい』
 嫌なのに気になってしょうがない小さな問題がある時って、それを考えてる時間ホント無駄だよね。嫌なヤツ、揉め事、今日の失敗、それ自体を思ってる状況がイヤ!だったら、デカイものを対象に憤った方が心が上向かない?「青い空なんかキライだ!」「夕焼けのバカ野郎!」っていう。『満月こわい』って責任転嫁も、その時真剣な嫌悪感。個人や人間社会のひとつ上の存在、自然や宇宙は、とばっちりもいいがかりも… (レビュアー: 北沢東京)
 

 
8位 Tempalay
『LOVE MY CAR』
 なんだろうこののんびりムードは。必死さがカケラも感じられない。だからとても良い。常々、日本の音楽は必死すぎるよなと感じていて、ただのポップでありつつも見ててホントに必死。その必死さが感動を呼ぶというのも否定しないし、むしろ感動話を集めているんじゃないかと思われるユーザー、リスナーは意外と多かったりする。だから表現者がそれに応じる形で必死な表現をするのはけっして悪いことじゃないんだけれども… (レビュアー:大島栄二)
 

 
9位 give me wallets
『Looking For The Special』
 エレクトロニカはどんどん進化して、音楽全体が細分化していったように、エレクトロニカというジャンルの中もどんどん細分化されているように思う。そもそもエレクトロニカというものが音楽スタイルというよりも楽器の分類に近いカテゴリーだからなのか、ほ乳類と同じような進化の形を隔絶された大陸で有袋類が遂げていったような感じで、つまりはエレクトロニカ的な機材構成で様々な音楽が生まれるのも必然と… (レビュアー:大島栄二)
 

 
10位 エレファントカシマシ
『悲しみの果て』
 3年前のあの日、僕は下北沢で揺れを感じ、停まった電車を諦めて8.5km先の家に向かって歩き始めました。ただ家族のことだけが気がかりで、奥さんに電話をするもつながらず。ただひたすらに歩き、電話をかけ続けたのを思い出します。時間が経過しようやくつながり、家具は倒れたものの怪我も無いと聞き、ホッとしながら夕食のことを考え始めました。まだテレビの映像など見る前のことです。その後の情報からすれば… (レビュアー:大島栄二)
 

 
次点 トクマルシューゴ
『Lift』
 「隙がない」とか「唸る」とかいうのではなく、「これが今の温度が醸す正解のひとつだ」という映像総合美術に出会うときがある。インスタレーションとして現代を照らしているのみならず、奇特に留まらない。振り返るに、ゴダールの『ワン・プラス・ワン』、エイフェックス・ツイン『ウィンドウリッカー』など不穏な要素の断片が鮮やかに明るみを照らす。  このトクマル・シューゴの『Lift』も音楽面だけではなく… (レビュアー:松浦 達
 

 
編集長コメント

1位 ヤバイTシャツ屋さん『あつまれ!パーティーピーポー』:勢いあるけど変わったバンドだなあと思ってたら、ファンの人多いんですね、圧倒的なアクセス数で第1位。ある程度有名なバンドであっても、本人がリツイートなどしなければあまりアクセスが集まらないことも多いのですが、彼らの場合、ファンがみずから検索して、広がっていったように思います。こういうところにバンドの勢いとか、本当の人気というものを感じます。今年、そして来年とどんどん伸びていくのではないでしょうか。なにより音もパフォーマンスも楽しいしカッコいいので。

2位 RCサクセション『ヒッピーに捧ぐ』:個人的に大好きなRCサクセションの、その中でも大好きな歌。ある程度の歳になると知人が亡くなるということも時折起こり、そのたびにこの曲を流したりするわけですが、そういう意味ではもうあまり聴かない方がいい曲なのかもしれません。まあ順番に人は死んでいくので、聴こうと聴くまいと関係ないのですけども。

3位 ENTHRALLS『きょうはうまく眠れない』:ENTHRALLS、良いんですよ。心から応援しているバンドのひとつなのですが、レビューの中でボーカル井上さんの表情について触れたところ、ご本人のツイートで「どういう切り口からでも曲が聴かれれば嬉しい」ということをおっしゃってて、このポジティブさ、というか音楽のためになんでもアリという姿勢がうかがえて、とても好感持てました。レビューで何か書くと、その内容が気に入らないと文句言ってくる方も時たまいますが、それでは敵ばかり作っちゃうので損なんじゃないかなあと思ったりもします。いや、もちろんどうしてもダメということに対しては遠慮なく怒るべきですけども。いずれにしても、この曲はとても良いですし、新譜もきっと売れるのではないでしょうか。

5位 The Lemon Twigs『These Words』:夜鍋さんの洋楽レビューが5位にランクイン。レビューの1週間後くらいから突然アクセスが増えて、何事なんだろうかと思うのですが、結局理由はよくわかりません。でも夜鍋さんも言っているように「やばい新人が現れた。これは大注目!」というのは本当だと思うし、そういう言葉に多くの人が反応したのかもしれません反応してクリックして曲聴いて、聴いた人は得した気分になっただろうなあと思います、ハイ。

7位 HONEBONE『満月こわい』:北沢東京さんレビューのHONEBONEが7位に。。

10位 エレファントカシマシ『悲しみの果て』:2年半前のレビューが再浮上。エレカシの人気はすごいものです。いやホント。

次点 トクマルシューゴ『Lift』:松浦さんのレビューが次点にランクイン。月末のレビューだったので、11月のアクセスも含めればもっと上位にいったのかもしれません。まあそれはともかく、松浦さんがこのところ行なっている「アーチストの再定義」レビューの取組みは興味深いものがあります。時として文章が難解ですけど、こういう音楽の楽しみ方もあるのだということを発見させてくれる、そんなレビューのひとつだと思います。

 今月から、毎月の上位ランキング11本をYouTubeのリストとして作成し、このアクセスランキングページに載せることにしました。これをクリックすると11曲が全部連続して聴けるというスグレものです。各曲のレビュー文章を読みながら楽曲を聴くというのも良し、何か他のことをしながらリストで連続再生して楽しむというのも良し。これからもmusipl.comで楽しんでもらえれば何よりです。

(大島栄二)