きのこ帝国
 
『東京』
 「東京」の一言で何を考え得るのだろうか。桑田佳祐は、あえてか、暗がりの慕情と悲しみを見出すような曲を作り、サニーデイ・サービスはさらりと爪弾くように風を攫い、外部からのストレンジャーとして、それでも、かろうじて繋ぐことができた“あなた”への想いを繋いだくるりの「東京」など、デモーニッシュなフレーズを持つ都市であり、記号性を帯びる。筆者も、「東京」という場所はいまだによく分からない。何度も行ったことがあるけれども……
 
  (レビュアー:松浦達)  

 
『海と花束』
 「花束を抱えて海へと向かう」か「ナイフを持って街へと向かう」か。そんな、二択を考えてしまう時がある。生き辛さというのは、唐突に現れて、都会の雑踏や工場の湯気でいつの間にか消えてしまう。/きのこ帝国というバンドをはじめて知ったのは、『eureka』というアルバムに収録された「春と修羅」という曲を聴いたときである。痛々しい春の針雨のような歌を、マッシュルームカットの女性が朗々と歌い上げていて、少し興味が湧いた……
 
  (セルフレビュー by 余田宗 (ファン))