ハンバート ハンバート
 
『がんばれ兄ちゃん』
 軽快な歌。そのMVの冒頭には、歌詞とは直接関係のない「2020年までに、消える東京があります。」という文字が表示される。なるほど、東京五輪までに消えるのか消されるのかわからないけれども、無くなっていくものは多いのだろうなあと、渋谷界隈をチョロっと歩いただけで思わされる。ここに映し出される風景はいわゆる昭和。そのほとんどは前回の東京五輪の頃に都市の成長を体現していた風景だろう。そういうものは、もはや現在の都市には不似合いなのだろうか……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『ぼくのお日さま』
 言葉がうまく言えない。その気持ちは一体どういうものなんだろうかと他人事のように想い巡らせていたのだけれど、よく考えてみたら自分だってそんなに言葉がうまく言える人ではなかった。多分、みんなそう。誰だって。大事なことを言おうとすればするほどその難しさに直面して打ちひしがれるばかりの人生だ。動悸がする。心臓がばくばくいう。おいおい心臓よ少し静かにしておいてくれないか。もうちょっと静かにしてくれていたなら、もうちょっと人生も楽になるのに……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『おなじ話』
 いつ聴いても不思議な気分になる。ハンバート ハンバートのことはとても好きなのだが、この曲は別格。男女の掛け合いトークのような構成になっているけれども、男性は女性がどこにいるのかも判っていないし、話をしようといっても「まず君から」と言い、次に話をしようと問いかけると返事が返ってこない。この曲については多くのファンがブログなどで触れていて、亡くなった女性との会話という解釈を披露している。論理的に考えたらそうだろうと思うし……
 
  (レビュアー:大島栄二)