ピロカルピン
 
『京都』
 この曲はピロカルピンのインディーの1枚目に収録された彼らの代表曲で、京都を訪れた時の心象風景を表現したものだという。そのことを象徴するように「大切なものは目には見えないものです/だからしっかりと心に刻みます」と歌っている。秋口の京都の風景がSNSの京都コミュニティーにたくさん投稿され、紅葉の名所の目に鮮やかなもみじの赤い色が美しい。だが実際にその場所に行ってみれば紅葉の葉はそんなに赤いものではなく、カメラアプリのフィルターによって……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『ピノキオ』
 ピロカルピンの新譜本当に良いな。アルバム『ノームの世界』からのMV「ピノキオ」と「グローイングローイン」はいずれもピロカルピン独特の淡白なポップサウンドに、苦境の中からの希望が歌われている。苦しいことを苦しいというのはもちろん良いのだが、その度毎に苦しい顔をしていては浮かばれないしつまらない。だから顔を上げて笑顔をたたえようとしても、じゃあ笑顔ってどうやって作ればいいんだろうか。これらの曲はそういう迷いに対する答えになるのでは……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『箱庭の世界』
 結成10周年というのはデビュー10周年とは意味が違っていて、本当にライブハウスでガラガラの中でしぶとく演奏を続けている頃からの時間の経過のことを指しているのだろう。僕もほぼ10年近く前に彼らのライブを数回観たことがある。一緒に仕事をしていたミュージシャンの友人だという彼らのライブはお世辞にも上手いといえるようなものではなかった。しかし、続けてみるものだ。後にメジャーデビューも果たし、今はもう契約も切れているのだろうか……
 
  (レビュアー:大島栄二)