LUCKY TAPES
 
『MOOD』
 刹那的、といえば良いのだろうか。この曲に広がる投げやりな態度表明。だが本当に今しか見ずに刹那に耽っているとはとても思えず。所詮という言葉があるけれど、人が行き来できる範囲には上にも下にも右にも左にも限界があって、今居る場所で何ができるのかを突き詰めれば、結局は人は刹那的な態度を取る以外に術を持たないのではないだろうかということを考えさせられる。このMVでは林野を貫く道路をスケボーで疾走する光景が映されている。俯瞰で見るから……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『ワンダーランド』
 LUCKY TAPESの初レビューが2年半前で、当時はまだその後の活躍が保証されているわけでもなく、すぐに消える可能性もけして小さくなくて、ただただポップだなあと感心したもので。しかし着実に支持を広げていって、今やそこそこ確固とした足場を固めている印象。今年春にはビクターからメジャーデビュー。10月にフルアルバム『dressing』をリリース。聴いてみる。すごく良い。新人の完成度かこれと首を傾げたくなる。インディーでの活動が前提の……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『Gravity』
 この「Gravity」のMVにあたって高橋海はnote“今作で個人的に絶対やりたかった、水中での同性同士のキス。(中略)Garden City MovementのMVや映画『アデル、ブルーは熱い色』なんかで表現されているような女性同士・男性同士の友情を越えた名前の付かない関係、みたいなものを表現”したいと記している。関係性に力学は要るのか、時おり思うときにこういう発想に触れると、無意識裡に勝手に自身で作っている同時代性の重力に切なくなる……
 
  (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))  

 
『TONIGHT!』
 本当にポップだよなあ。ポップって簡単に創れるものなのかなあ。そんな風に思っちゃうほどに最近はポップな曲を奏でてるバンドが多いです。でもそんなことはないのですよね。昔々に大瀧詠一とかのあたりが作ったポップミュージックはそれこそ神話のようになっちゃって、その神話があまりにも大きくなっちゃって、亡くなった今でも続々と再発とかアナログとかボックスとか出てて、おいおいいつまで商売やってんだよその儲けは大瀧詠一本人には行かないだろ誰が……
 
  (レビュアー:大島栄二)