MONO NO AWARE
 
『東京』
 東京というタイトルがついた曲はついつい聴いちゃうしMVがあれば見ちゃうというのは、長年東京に暮らして離れた者の郷愁のようなものなのだろうか。大都会への郷愁というのも変な話だなと思わない訳ではないが、実際には政令指定都市で生まれ育つ人の方が多い訳で、そういう意味では野山を駆け巡るド田舎のことを思い出す郷愁の方が圧倒的に少数派なのだろう。まあそんなことを考えつつこのMVを見るといきなりド田舎。なんだこれはと思ったら八丈島で……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『井戸育ち』
 今年明けてほぼすぐにこのMVが発表されてから、何かの折、観たくなってしまう。このバンドそのものが持つ絶妙な肩の力の抜け具合がフィットしたというのと、現代版の小田実『何でも見てやろう』な質感が映像内に圧縮されているような、イギリス、イタリア、フランス、ドイツ、トルコ、タイ、カンボジア、台湾など世界8ヶ国の紀行の断片群に、中途の舞踏場面や雪で戯れるシーンまでの温度差がのびやかで、几帳面に自らの既得を既得のままでねじ伏せようとする……
 
  (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))