TETORA
 
『今日くらいは』
 MCを含めて彼女たちが全力で音楽に立ち向かっている姿が映っている。曲前の冒頭で「21歳、人生賭けてやるって決めた!」と叫んでいる。こういうの、いいよ。バンドがあるタイミングで大きくなると、大きな力に身を委ねて任せて進んでいく的な他人まかせ感が滲むことがあるけれど、本人たちが「人生賭けてやる」っていうのは、そういう知ったかな先入観を一気に払拭するパワーがあるよ。客席とステージの間の、画面の前と向う側の間の、ファンの前でだけ見せる……
 
  (レビュアー:北沢東京)  

 
『ずるい人』
 選挙後「あいつは当選したのに公約を実行しない!」と騒ぐ人がいるけど、私が思うのは、その図太さを武器に本当に私たちのために政治を頑張ってほしいということ。裏切られた恨みを、周年の揚げ足取りにぶつけてネガキャンとか、監視するのはそこじゃない。票を入れた私にとっての理想社会実現が重要。悪意のある周辺国や、世間の狡猾な悪者に対して、誠実正攻法でバカを見ることのないように。ずるい事のできる人がひとつ目的に燃えていたら期待する部分はある……
 
  (レビュアー:北沢東京)  

 
『ずるい人』
 切り裂くようなハスキーな声。ハスキーというのかこれ? ハスキーとはちょっと違うのかもしれないけれど、各フレーズの語尾で裏返るような発声が限界に挑んでいるように聴こえるし、限界に挑んでいるような歌はやっぱり魅力的に聴こえる。ズルいよこれ。ズルいって言い方もおかしな話で、きっとボーカル上野はゆねはこういう声なのであって、自分の声で自分らしく歌ってズルいなんて言われても「何が?」でしかないはずで、100人には100人の顔があるように……
 
  (レビュアー:大島栄二)