マカロニえんぴつ
 
『洗濯機と君とラヂオ』
 JR大森駅そばの大森銀座商店街 Milpa 周辺が舞台だ。ここに登場するコインランドリー「ミスターランドリー大森店」は、ドライクリーニングがセルフで行えることで知られており、和装着物を大量に洗濯する方もいたようだが、2019年の3月に、利用者に愛されつつ閉店となった。ここでようやく歌い出しの「最低限の生活には、洗濯機と君とラヂオ♪」という彼と彼女の物語が完成した。曲が発表された2017年前後には、コインランドリーはあったのだから……
 
  (レビュアー:北沢東京)  

 
『鳴らせ』
 フランスの哲学者ロラン・バルトは1980年の『明るい部屋』で、写真と視覚論に触れ、主体性の記号人称における認証と撤回の反位の中で、“かつて”を切り取り、写真の中に何らかの喪に服す形式を見出すかのような試みを行なったといえるが、最近の音楽は記号的に、誰かたる主体がぽつりと客体を捉えている構図が浮かぶものが多く見受けられ、それは現代における“写真という、かつてたる実像“がインフレ気味であるがゆえに、不特定少数にでも追認するために……
 
  (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))