サキタハヂメ『蘇州夜曲』 Next Plus SongSTAYCOOL『Through the Viewfinder』

おぐまゆき
『路地裏の僕』

 情念という言葉でしょうか、この歌を表すのに適するのは。でもそれでは足りないような気がします。「僕を愛して」という言葉と「僕をすてないで」という言葉が交互に入り交じりながら叫ばれる。聴いていて、男女の関係だけではなく親と子の関係が歌われているような錯覚に陥りました。追いつめられた状況の心は、時として最低限の振る舞いをさえ最大の愛情と思い込む。それは不幸なことなのでしょうか。否、その感受性を持つことが、実は幸せへの近道なのだと思うのです。おぐまゆきの弾き語りならぬ“弾き叫び”が、リスナーの情感をとらえてグイグイと引き込みます。彼女のギターは12弦ギターに9本の弦を張るという特殊なセッティングがされていて、ただ感情をぶつけているだけの人ではありません。実は声楽学科卒業という経歴の持ち主。ギターをじゃらじゃらとかき鳴らしながらも、オリジナリティのある戦略が潜んでいるようです。
(2014.4.19) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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