BAD ATTACK『僕は空』 Next Plus Songさよなら、また今度ね『クラシックダンサー』

Polar M
『Darkblue Sky』

 何より澄み切った音像の中で揺れるオーロラのような奥行きに魅せられるかもしれない。必ずしも近年の傾向とも言い切れないものの、エレクトロニカ、IDMでも“無機性”をあえて目指すことで、掠める現実への照応性は出てくる。ただ、この京都に在住しているPolar Mは、これまで多岐に渡る活動を経ながら、自身の枠にとらわれることなく、柔和に有機的なサウンド・タペストリーを構成してきた。約3年振りとなるニュー・アルバムでも、タイトルは直截的な『Hope Goes On』と称した。しなやかな音響空間の中に、「Above The Horizon」、「Snow Calls Silence」といった曲群は、麗美に作品総体に揺さぶりをかけてくる。筆者としてはアイスランドのムーム、または、ノルウェーのロイクソップの一時期に近い暖かい温度を感じながら、この「Darkblue Sky」のMVに限っては、ベーシックな部分で「時間論」を想起もしてしまった。一定の速度で変化する時計から、時間という概念が一定速度で進んでいるようだが、それは「時計の変化」が一定の速度になるよう形成されているのであり、「時間」とは、速度的に一定性はなく、そう考えて、改めて対峙してみると、時間/速度を未線化するように、じわじわと景観の変化に応じ、サウンドスケープは規定性を越えてくる何かを感じもしないだろうか、ということ。“催い(もよい)”という言葉に沿うなら、この音から静かに近付いてくる気配は、時間と速度を止揚するような感覚もおぼえる。
(2014.11.10) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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