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ryohadano
『4月』

 微かな、消え入りそうな声が描き出す優しく残酷な子守唄のようなしらべに合わせ、海岸の砂浜に残る足跡、幻惑的な太陽、と、どこか彼岸を思わせますMVですが、不思議と厭世性や儚さよりも、声の大きく賑やかな音楽よりも確りと心を捉えられ、染み入るところがあります。個人的には、徳永憲、Peridotsなどの温度を感じつつも、やはり、新世代のSSWとしての感覚がライヴには、散在しています。漂然とどうにも捉えづらい雰囲気を備え、囁くように歌っていたと思えば、突然のギターのノイズが空気を変えたり、ミニマルなフレーズの反復の中に様式美を破る衝動性があったり、この「四月」でも静かな微睡みの中に、後半、ざわつく電子音が穏やかではない心地にも運ぶゆがみがもたらされながら、最後は美しいショート・フィルムを見終えたときのようなギターのアルペジオが余韻を醸します。この一筋縄ではいかない浜松のSSWの存在は、風に乗って花の種が様々な場所に息吹を知らせ、咲かせるように、じわじわと拡がっていきそうです。
(2014.12.5) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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