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SEKAI NO OWARI
『炎と森のカーニバル』

 帰省をして中学生の甥っ子と話をするのは貴重な機会だ。「どんな音楽を聴いているの?」と尋ねると「セカオワとポルノグラフィティ」と答える。中学生が今どきポルノグラフィティなのかとさすがにずっこけたが、それとセカオワは並列して聴かれているのかという、驚きと感慨と、まあいろいろ複雑な気持ちにさせられた。
 僕自身がセカオワを知ったのは2010年の知人のTwitterにて。まだインディーズだったはずのバンドにとっては大きすぎる会場でのライブが決まったと嬉しそうに喜んでいる20代のツイートは、インディーズレーベルをやっている僕としてはそんなサクセスストーリーを体現しているバンドもいるのかと羨望のまなざしではあったが、そんな大きすぎたはずの会場も、今の彼らの規模ではあり得ないくらいの小さな会場でしかない。そして、彼らは今日、紅白歌合戦に出場するらしい。
 ロックバンドが紅白に出場するというと、最近で思い浮かべるのはflumpoolだ。大手事務所に所属するロックバンドはライブハウスで活動するロックバントとは明らかに違う活動内容で知名度を上げていった。そういう過程をテレビのこちらとあちらを隔てた関係の中で冷ややかに見たりもしていた数回の年末を思い出す。
 音楽がどう聴かれるのか、知られていくのか、広がっていくのか。musiplは大手とは無縁のひとつのきっかけとして、アーチストとリスナーの架け橋になろうと活動をしているわけだが、その地道さとはまったく違った圧倒的なプロモーションというものも存在している。それは先の選挙とも似ていて、総数としてはけっして大多数ではない支持によって議席を席巻するという現象は、大多数の人が音楽になどもはや興味を失ったかに見える昨今に、多くの無名バンドが乱立する中で大手のプロモーション戦略はより増して効果を発揮していることとけっして無関係ではないと思う。無関心が、小さな想いや活動を殺すのだ。
 どのような未来が待っていようと、殺されることなく淡々と日々を紡いでいきたい。そしてセカオワのような大きなプロジェクトは、小さな声や音と対立する敵などではなく、やはり音楽全体を牽引し、人々の音楽への興味をつなぎ止める強力な同士だと思う。それにしても日産スタジアム2DAYSというのはやり過ぎだとちょっと思うのだけれども。
 2014年、musiplが年間を通じて活動した初めての年が終わる。昨日はレビュアーの松浦氏に過分な言葉をいただいた。ありがたいことだ。そんな言葉に追い付くように、来年もまた努力していきたい。2014年は終わるが、世界はまだ終わらない。
(2014.12.31) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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