Bentham『パブリック』 Next Plus SongBalloon at dawn『Ten』

THE BLUE HEARTS
『人にやさしく』

 ブルーハーツは80〜90年代のバンドの中でも、非常に多くの若者に影響を与えたという意味で特別な存在だ。彼らのLPを公園通りのCSVで見た時は、まだ音も聴いていないのに衝撃を受けた。なんだろうあの感覚は、衝撃は。で、その後の活躍と熱狂は説明の必要もないだろう。数々のヒット曲が生まれたが、僕はやはりこの曲が一番好き。しかもこれ、自主制作。今でこそまったく無名のバンドが簡単にCD作ってamazonで全国流通って簡単になったけれども、当時はインディーズなんて言葉もなく、僕がインディーズレーベルをスタートさせた1990年でさえタワーレコードは単なる輸入レコ屋でしかなく、だから1987年にLPを自主制作してというのは、それを全国に届ける術など考える事もない衝動のようなものだっただろうなと今は想像できる。しかしそんな衝動のような熱を受け止めるCSVのような場所も点在していて、今よりも本当の情熱は届くべきところにちゃんと届いていたのではないかという気もしないではない。
 ブルーハーツのこの曲。頑張れって連呼される。最近は、辛い状況の人に対して頑張れと言ってはいけないという説が主流になりつつあるという。それは確かにそうで、ではこの曲は良くないことなのかという疑問もちょっとわいたりする。でも、歌詞はこう綴られている。「心の中で頑張れって言っている。聞こえて欲しいあなたにも」と。言外に込めた頑張れという言葉を、受け止められるような心の状態に回復して欲しいということだったのではないかと、今思う。

(※読者より「『人にやさしく』はLPに収録されていない」とのご指摘を受けました。私がブルーハーツの存在を知ったのが渋谷公園通りのCSVに飾られていたLPであることは事実ですので、文面の「LP」を「ドーナツ盤」と書き換え修正するとエピソード自体が間違いになるし、CSVで『人にやさしく』のドーナツ盤が店頭で飾られていたかどうかの確認もできませんので、その点、レビュー文末のここで明記させていただくに留めさせていただきます。ご指摘ありがとうございました。尚、下記にamazonやタワーレコードの商品ページをリンクしておりますが、リンク先の商品もこの曲が収録された最近のベスト盤CDです。当時のLPや、そのLPと同じタイトルのCDでもありませんので、ご了承ください。)
(2015.1.24) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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