スキッツォイドマン『ギロチンX』 Next Plus SongKISS『Detroit Rock City』

サイ・トツゲキ・オーケストラ
『赤いTシャツ』

 夏。動画のシーンも夏だし、サウンドもメロディも夏。聴いていてとても心地良いし、聴きながら感じられるデジャヴのような寂しさもまさに夏。夏というのは叶うはずもない些細な願望が実現するんじゃないかと錯覚してしまって、それが錯覚なんじゃないかということは薄々気がついてはいるものの、錯覚じゃないんだよ現実にもうすぐなるんだよという期待感が上回り、本当に一夏の間だけ夢の中に過ごすことができたりする、そんな季節なのだろうと思う。夏を表現することに長けているバンドというのは時折いるが、彼らもそういうバンドのひとつだったのだろう。だったというのは、彼らが昨年の夏が終わる頃に解散してしまったからである。いくつかのところに残っている公式HPのアドレスに飛んでいってもそこには何ひとつ情報は無い。どこかで聴いてたなこのバンドの名前と思っていても、いつのまにかそのバンドは既になく、まるで一夏の儚い夢が夕立とともに消えてしまうように、バンドや音楽との出会いというのは泡沫の夢ということでもあるのだろう。理由はもちろんいろいろあるのだろうが、バンドが解散するという報が流れるたびにネット上では「辞めないでほしい」「もっと見ていたい」などという言葉が溢れる。だが、辞める前にもっとみんなが見てさえいれば、辞めなければならない理由も浮上してこなかったのだろうといつも思う。だから、過去のバンドを懐かしむ前に、今目の前にあるバンドを、好きなのであれば見たり聴いたり買ったりしようよと、こういう解散バンドの音楽を耳にするたび訴えたくなるのである。
(2015.3.6) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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