Deerhunter『Snakeskin』 Next Plus SongSaToA『手紙』

D.A.N.
『POOL』

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 静かな音楽だと思う。レーベルのサイトには「ジャパニーズ・ミニマル・メロウをクラブサウンドで追求する、東京出身21歳の同い年3人組」とあり、「どこか冷たい質感、チルで、ダウナーな、トリップするミニマルなリズムやフレーズ、その上にキャッチーでメロウな歌がのっていく」とも書いてある。だが、こういう言葉に何の意味があろうかと、曲を聴いてて感じてしまう。いや、もちろん言葉は重要だし、そこに書いてあるワードはこの音楽を表現するに最適なものばかりだし、そもそも言葉を否定したのでは、musiplがやっているレビューというものが成立しなくなる。そのことを理解して踏まえた上でなお、こういう言葉に何の意味があろうかと感じてしまう。そういう音楽は時々あって、これもそのひとつだと思う。聴いていて普通に良いし、クラブサウンドだからといって自宅で聴いたって当然良いわけで、レビューをやっている者の敗北宣言として、だから、聴けよと言いたくなる。乱暴だが。「誰にでも大切な記憶の「プール」がある。その記憶の貯水池が「溢れる」瞬間を見つめた」と本人たちが発言していて、それは彼らが曲を作る時には意味があっただろうが、その発言を知らずにリスナーがこれを聴いて同じイメージを頭に浮かべることはほとんどないと思う。どんな曲もきっとそうで、作者の意図も音となって空間に広がる時に一緒に空気に溶け込んでいって、鼓膜を揺らし脳に信号となって伝わるまでには、様々な不純物を伴って、ある種の像を形作る。それで、いいのだろう。森林の空気の中に砂ぼこりが舞えば不快に感じるだろうし、気持ちを和らげるアロマのようなものが広がったなら、それを心地よく受け入れる。音楽も、きっとそんな感じなのだ。僕はこの静かな音楽を心地よいと感じている。
(2015.12.10) (レビュアー:大島栄二)
 


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