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月とミルクパン
『朝のうた』

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 音楽活動というと、練習スタジオでリハをやってライブハウスでライブをやって、レコーディングをしてCDを作って物販用にバッジやTシャツを作ってと、まあそんな風にステレオタイプに考えてしまう。演奏も鍵盤が必要ならどこから電気を持ってこようかとか、最近は電池式のショルダーキーも安いぞとか、そんな風に考えてしまうけれども、この月とミルクパンのライブ映像を見ていると、なんかそういうのがアホらしくなってしまう。野外の、これは人の家の庭なんだろうか。後ろに見える緑の網みたいなのはゴルフの打ちっ放し練習をするためのものなんだろうか。スピーカーがおいてあるのは黄色いケース。ビール瓶のケースなのか、農作物を収穫するケースなのか。それよりも何よりも、ボーカルの人、背中に赤ちゃんを背負ってるぞ! 僕も長い音楽業界生活で様々なアーチストを見てきてて、小さな子供がいるけれども音楽活動バリバリにやってて、夜遅いファミレスでのミーティングに子供同席しててイスで寝てるよってこともわりと日常的な光景だったりしたけれど、さすがにステージに上がる時に背中に背負っているのは見たことがない。いや、凄い。なにが凄いのかは上手く説明できないし、子供がいたらいつも一緒が当たり前なんだけれども、そのせいで大人がやりたいことをたくさん我慢しているというのはよく聞く話。でもこうやって子供を背負いながら歌を歌い続けるっていうのは、見ていてなんか嬉しくなってくる。胎教のためにモーツァルト聴かせようとか、親も聴いたことないのにクラシックのCDを買ったりするというのはよくあるけれども、こうやってお母さんの歌を背中で聴きながら育つというのは、子供にとってもすごく良いんじゃないかなあと思う。カメラの側にいる客よりも、この背中の子供が一番のリスナーであり、親子が歌でつながる光景を、いわゆる普通の客たちは眺めさせてもらっているような、そんな付加価値を感じるような光景だと思う。この2人がずっと歌い続けるとしても、子供はやがて大きくなり、抱っこひもでおんぶすることも出来なくなるのであって、だからこういう光景はとても貴重な何かのように思えたのである。あ、歌や曲について一切触れてませんね。すみません。とてもほのぼののんびりフンワカな良い曲だと思います。でもそれ以上に、この光景がステキすぎて、まぶしいなあと思ったわけです。
(2016.2.9) (レビュアー:大島栄二)
 


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