ガール椿『テーブル』 Next Plus Songadvantage lucy『sunny』

Hearsays
『Talking Across The Room』

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 福岡を拠点に活動するというポップバンド。僕はこれを聴いてとても懐かしいなと感じた。なぜかというと、Lucy Van Peltを思い出したから。メジャーデビューでadvantage Lucyと改名するLucy Van Peltは、90年代後半に洗練されたポップサウンドとコケティッシュなボーカルで注目を集めた。渋谷系の残り香がまだ漂う時代のことで、僕もタワレコでCDを買ったっけ。僕の個人的な思い出は別の機会にするとして、この曲を聴いてその頃のことがデジャヴのように蘇る想いがした。音楽のジャンルは際限のない細分化を繰り返した後、原点回帰のようにオールドスタイルのサウンドもときおり復活したりする。それはムーブメントという大きなうねりではなく、バンド単体による個の動きとしてだったり。ここ数年のシティポップブームとこのバンドが関連しているのかというと、もちろん正確なところは判らないものの、僕は、違うように感じた。単純に好きな音楽をやっている。大きな野心も特に無く、好きな音楽をただ楽しんで奏でる。それはすごく健全な活動であるようにも思うのだ。音楽に限らず文化に取り組む人は、オリジナリティを過度に求めて、今までにないものを探そうと躍起になる。だがそれは、「新しいもの」という呪縛によって、自分の表現を狭めていることに他ならない。だったら「昔あった懐かしい音」を自らの快楽のために楽しんで演奏するということが、その呪縛から解放される唯一の道なんじゃないかと思うのだ。いくらマネようとしたところで完全なマネなど不可能なのであって、やっているうちに自分たちの中にしか無いオリジナルな何かは浮き出してくる。僕も最初懐かしいなと思いながらも、聴いているうちにこの音楽が持つ乾燥した冬の空気のような清々しさに癒されていたことに気づく。新しいという価値は既に陳腐なものになり、古い何かの中にあった価値の片鱗を、今の人が拾い上げて今に合ったステキなものとして再生する、そんな音楽が巷にあふれようとしているのだと思う。
(2016.2.12) (レビュアー:大島栄二)
 


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