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EVERLONG
『オレンジ』

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 メロディックパンクというジャンルはなんで存在するのだろうとずっと思ってて、おいおい音楽業界人がそんなこと言ってて大丈夫かと心配されそうなのでずっと黙ってますが、こういう音楽を聴くたびにやっぱり想いがこみ上げて口まで出かかるので、たまにはうっかり言葉になって公になってしまうのです。そもそものパンクロックの源流がメロディよりも過激な勢い重視であるべきだという先入観というか偏見というか、ステージ上で楽器を破壊してツバを飛ばして場合によってはチェンソーを振り回したりして、というものを何となくイメージしてしまう想像力の無さがそう思わせてしまうのでしょう。でも数ヶ月前から予定を入れているライブ会場のステージに時間通りに現れるという時点で、そんなラジカルなアナーキーな存在ではありえないわけで、まあ、パンクという言葉に騙されてしまう何か(愚かな僕)ということなのでしょう。インディーズが盛んになって、Indiesマガジンというものが1995年に創刊されて、注目のアーチストの音源が収録されたCD付きという当時としてはかなり注目の雑誌だったわけですが、その表紙がハイスタで、その後のインディーズ業界の流れを見ても一番売れて影響力を持ったのがハイスタだったということを考えてみても、メロディックパンクはインディーズでもっとも成功したジャンルであることが判ります。
 音楽のジャンルっていろいろあるけれども、パンクであってもメロディは大切じゃんっていう気持ちはもちろんあって、まあそれは人間にもふざけた部分とシリアスな部分が同居しているというのが普通なわけで、サウンドは過激にしたい、でもちゃんと口ずさめるものにしたい、甘っちょろいポップミュージックを奏でてる自分なんて想像したくないよな、でもノイジーなだけのサウンドで誰に何が伝わるんだ、というような、複雑な想いが若いミュージシャンに同時に存在しているのは当たり前の話で、だからメロディックパンクなるジャンルは存在するのだと、こういう曲を聴いているとおぼろげに理解できます。個々のバンド、個々のメンバーによって「どこから先が甘っちょろくないサウンドなのか」「どこからが口ずさめるメロディラインなのか」という基準も違っていて、多くのバンドがメロディックパンクと表明しながらも、それぞれがやっている音楽は微妙に違っていて、リスナーも数あるメロディックパンクのバンドの中からそれぞれ自分の中の基準に照らし合わせて、自分の耳や気持ちがもっともフィットする音楽を選ぶことができて、会場で盛上がれるというのがこのジャンルの特徴なのでしょう。なんか上っすべり感は残りますが、そんな感じです。このEVERLONGというバンドは名古屋のバンドなのですが、使われているビデオの光景は東京の都電沿線で、どうしてなんだろうと思ったりもするのですが、個人的には懐かしい風景なのでずっと眺めてしまったりします。撮影したビデオを逆再生しているために他の通行人が後ろ向きに歩いたりして面白いのですが、主役の人はずっと長いこと後ろ向きに歩かされてて、大変だったろうなあとか、漠然と思います。
(2016.5.24) (レビュアー:大島栄二)
 


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