山崎まさよし『名前のない鳥』 Next Plus SongBILLIE IDLE®『be-bop tu-tu』

syrup16g
『Deathparade』

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 やはり、なによりこの殺気だった衝動だろうと思う。この曲が終わったら、聴き手や受け手はもう視界や思考が刷新されていればいいと感じるほどに。野放図な、彼らが”再発”後に於ける、ストレートで本当に衒いのないロックンロール、過去で言えば、「天才」、「Sonic Disorder」、「落堕」系のそれ。それより粗さがクールに浮かぶ。そして、ぼんやりと歌詞がマシンガンのようにまくしたてるなかには、明らかに以前と、今の・以後が含まれている。「向き合おうと言われたって 全滅だから もう焼け野原」、「安穏の廃れ」、のらしいフレーズ群などありながら、白眉なのはここだろう。

  怒りは夜勤の痕に繕う羽
  不条理と刺し違えても
  容易く消えたアイロニー
  聞こえる 生きとし生きられぬ声を

 以前、ここで“再発”後の彼らについて触れたとき、“リアルに時代と刺し違えることが出来なかったバンドがこの不穏な時代と、奇妙な時間差でもう一度、再追認されているとしたならば、この先の絵図が既に気になる。”と書いていたが、この曲を含めた『darc』は本当に刺し違えている要所があると思える。彼らのライヴはどこかいつも客を置いてゆくようでじわじわ揚がる熱量を受け止め、それに対し、五十嵐隆は声を張り上げ、ギターをかきむしり、中畑大樹のドラムはそれに呼応するように歌うように暴れ、キタダマキのベースはクールにエモーショナルに。その不思議な魅力の磁場に筆者も巻き込まれたものだった。

 彼らはそして生き延びて、また、このライヴ・シューティングの映像では点滅する紅の閃光、明滅するライトの中でただただ、ここで、刹那を駆け抜ける。できすぎた復活劇じゃなく、『Hurt』、『Kranke』と新規ファンを患者にして、また旧来のファンの期待に応えながら、この『darc』での振り切り方は筆者としては、思わず、ずっと解散前から満杯ではないときから観てきたバンドのカルマがよぎった。「Reborn」、「神のカルマ」、「翌日」、「明日を落としても」も過去の代表曲も今ライヴで体感できるのも勿論、いい。

 ただ、彼らはもう野蛮でも形振り構わずとも進むことに賽を投げたような、この作品のような簡潔な特にその速度が心地良くもある。緻密に作られた作品もさることながら、こういう作品でこそ、彼らはむしろ時に映えるところがある

 完成し尽くされたものが美しいばかりじゃない。
(2016.11.28) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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