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友部正人
『一本道』

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 何年も前の井上晴美さんの連載コラム的なところから、自転車世界旅行中の自転車くんという存在を知り、以降、自転車くんの旅行記などを読める範囲で読んでいる。7年半の世界一周から帰国し、住んだ街が阿佐ヶ谷で、地元の店の名前など出てくるのを楽しみにブログ「石田ゆうすけのエッセイ蔵」を見ていたらジャズバーの吐夢が2017年3月で閉店という話題を知った。阿佐ヶ谷の『吐夢』『鈍我楽』『我楽亭』について思い出長くなるが、お酒に強くない私がピーチツリーフィズと砂肝を注文する日々があった。
 上の世代では超有名でもヒヨッコの私が知らなかった音楽に、吐夢という空間がつなげてくれたことの数々。レコードリクエストに憧れJAZZを聞きかじり、いざ曲名で「かけてください」言ったら「誰の演奏にする?」とさらに教えていただいたり。浅川マキ『ふしあわせという名の猫』が流れた時、友人とカウンターへ行きジャケットを見せてもらいメモし翌日新宿HMVでCDまとめ買いしたこと。そして、お店の企画CD「ASAGAYA FRIENDS〜 legend of banana skin バナナの皮の伝説」(2001年)に収録されていた友部正人の『一本道』を聴いた時に、音楽だからこそ想像し得る、永遠の阿佐ヶ谷の風景が焼き付いた。時代の友人たちを「こんな良いお店があるんだよ」と連れて行った吐夢の、壊れた時計がいくつも掛かった席で、千切りキャベツに粉チーズを振った砂肝をつついて、結論を出さなくていい音楽の魔法のはなしをしている。
(2016.12.15) (レビュアー:北沢東京)
 


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