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The Whoops
『ドライヴ』

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 繰り返して聴いていて、どこが良いんだろうと考えてみても考えてみても考えてみればみるほどよくわからなくなる。でもその良さっていうのは音楽業界人がセオリーに基づいてアーチスト資料を作成していく過程で、良さげな言葉を並べたいんだけれどっていう観点の良さであって、聴けば良いのはすぐに判る。とはいえ音楽業界人的なアーチスト資料の意義なんて無いぜって言ってるのではない。音楽はもちろん音を聴いて判断してナンボなんだけれど、その「音を聴く」というところに至るまでには実はいくつかのステップが必要で、聴きもしない音楽は無いに等しく、その「無いに等しい」状態の音楽を「聴いてみたい」と思ってもらうためには、音以外の要素で魅力を伝えるという努力が必要。だから音楽を売ると意気込めば意気込むほどにその「音以外の魅力伝達法」を探そうとするし、それが過ぎれば「音以外の魅力伝達がしやすいような音楽」を作ろうとし始める。他の誰もやっていないアレをやる、他の誰もやっていないソレを実現する、と。だがそうなってしまえば本末転倒で、何のために音楽をやっているのかが見えなくなってしまうし、売れりゃ良いのかという罵倒に対し一切の反論が出来なくなってくる。音楽を創るという良心を売り渡してしまったその先に唯一無二が見えたところで、そんなものに価値があるのかとか。まあそれは極論としても、このThe WhoopsのMVを眺めてて、そんな「音以外の魅力伝達要素」がほとんど見当たらない様がかえって清々しくさえ思えてくるし、何の偶然かこうして曲を聴くことになって、ああ、この曲良いじゃんと素直に思えてきて、縁というものを感じずにはいられない。特に速くもなく、演奏能力がずば抜けた超絶テクなど微塵も見当たらず、ルックスが特別秀でているわけでもなく、でも、なんか暖かくてホッコリするこのサウンドはいったい何なんだろうか。メンバーでもない美少女をMVに出演させているけれども、結局メンバー同士が仲良くて楽しそうだぞということの方が前面に出てて、美少女を出す意味あったのかと思うくらいなのも面白い。以前のMVなどではもうちょっとクセのある言葉も取り入れられていたけれど、この曲では本当に普遍的な言葉だけで普遍的な光景の描写しかされていなくて、それでいてこの良さ、染み渡り感は、ある意味バンドとして成熟してきたともいえるのかもしれない。これからさらに特徴のほとんどない音楽作りに邁進して音楽業界人を困惑させながらも、「でも、いいよな」と全肯定させていってもらいたいと、無責任ながらもそう思う。
(2016.12.20) (レビュアー:大島栄二)
 


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