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マイアヒラサワ
『話せてなかったこと』

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 あれは何年前だったのでしょうか。マイアヒラサワのMVがテレビで流れてて、へえ、こんな人もいるんだと。スウェーデン人でありながら日本の音楽シーンでサラリと活躍している。当時それが洋楽なのか邦楽なのか立ち位置が明確にはわからなかったのだけれども、それは洋楽というのは英米の音楽シーンのものだというような古くて間違った固定観念と、そもそも洋楽と邦楽を分けて考えなきゃというようなこれまた古くて古くて古臭い固定観念によるものでしょう。日本語の発音が完璧とはとても言い難いマイアさんは祖国スウェーデンでのデビュー後に休暇ということで日本にやってきて仙台に暮らしていたそうです。ウィキなどにあるプロフィールでは、仙台に暮らしながらも半年後にはCMソングに起用されるとか書いてあって、いやいやそんなに簡単に決まる訳ないでしょう、いろいろと周囲が動いてそういう結果があるのでしょうと勘ぐってしまいますが、それも良くない癖ですね。ここは素直に受け取っておきましょう。で、そういえばしばらく見ないな、最近どうしてるんだろうとおもってググってみたら、昨年アルバム出してました。いやいや、僕が知らないだけですね。でも一時はJR九州のキャンペーンソングまで手掛けた人にしてはこの動画も5ヶ月が経過してまだ再生回数1300回程度で、僕が知らないだけじゃなくて、けっこうみんな知らないんじゃないかなあと思います。でもすごくいいんですよね。おそらくスウェーデンの田舎なんだろうと思われる湖畔でギターを弾いて歌う夕暮れ。話せてなかったことを歌うには最適のシチュエーション。スウェーデンで日本語で歌えば周囲の人は一切わからないだろうし、だから話せてなかったことを歌にしたところで結局話したことにもならず。それを覗き聴きしているような、そんなMV。曲中に出てくる「青葉通り歩いてると」というのは仙台の描写でしょうか。2010年頃に日本で少しばかり盛上がったシーンからはちょっと外れ、その人が日本からは遠く離れた故郷で青葉通りのことを歌っているというのが、グッときます。以前は「世界の中心で〜」というのが流行ったけれども最近は「世界の片隅で〜」というのが流行っていて、でもこのMVを見ながら、この世界の片隅こそ自分にとっての世界の中心なんだよなあと、だからどっちも同じことなんだよなあと、そんなことを考えたりします。
(2017.2.11) (レビュアー:大島栄二)
 


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