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Cosmo Pyke
『Chronic Sunshine』

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 ジャジーでスムースな音楽が流れるカフェは落ち着く。しかし、翻るに、ジャジーでスムースな、っていうのは何なのだろうと思う。そもそも、ジャジー(Jazzy)って活気のあるイメージと混ざり合った中で抽出された華やかさでもなかったかと想いなおし、そこから考えるとカフェは喫茶店でいいし、喫茶店でのティーはお茶でいい。カップに入ったお茶は、「お茶がカップの形をしている」と敷衍していけば、マイボトルにお茶を入れてもらえば、もうなにもなくなる。なにもなくなることと、なんでもありすぎることはとても近い。先日、偶さか訪れた旧い大阪の市場はもはや異国の市場のようで、その情報量は日本の風景ではなかったが、悪い気はせず、或る意味の猥雑さが華美だった。

 Cosmo Pykeの音楽もそうだな、と思う。まだ18歳のサウスイースト・ロンドン、ペッカムのシンガーソングライター。そして、昨今の例により、モデルにスケーターと多方面で活躍して既に世界中から注目を浴びている。この曲もいわゆる、ジャジーでスムースといえる。隙がないほどに良くできていて、でも、MVはお洒落なようで微笑ましい。旧い話に結ぶと、ビースティーズからブギーバックなようなストリート感覚的な、歩きながら、多様なエスニティの人たちと混ざり、ティーブレイクをして、スタジオで演奏し、自転車に乗り、とフラットなつながりがほどよくチープで、よくできすぎている訳ではなく、人肌の温かみの方が滑らかに伝わってくる。多彩なこととは、今は密やかな日常下での活気に支えられ、個々にとっての寄り道が用意されているというジャジーな好例だと思う。決まった道からときに逸れるのは愉しい。
(2017.3.27) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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