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Bray me
『雨フレバ虹』

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 先週のレビューで「このおどろおどろしい雰囲気はルートをボボボボンと鳴らし続けるベースから生まれてんだろうか」という考察を書いた。だが、それは間違いでした。完全に間違っている。決定的に間違っている。このMVを聴いてくれ。冒頭、ボボボボボンという音と独白のようなボーカル。全然おどろおどろしくない。と、ここまで聴いてまた気付いた。この曲の冒頭は、ベースの音じゃない。僕は一体なにを聴いているんだろうか。でもギターのリフにしてはベース音のようなテイストに聴こえてくる演奏と、ボーカルだけでスタートさせるこのイントロはなんか印象的だ。たたみかける勢いを感じる。そして、やはりおどろおどろしくなんてまったく無い。初っ端からどんどん加速して、聴いている人の心を巻き込んでどこかに連れ去ってくれるような、そんな曲だ。カッコいい。静岡を拠点としたバンドということだが、地域なんて要素はロックには関係がないと確信する。都会であろうがそうでなかろうが、どこにだって生活や暮らしはあり、そこにある苦悩や希望をどう感じ取って表現をするのか。アートとはロックとはそういうことであり、地域がどこであろうとそのきっかけは存在している。この勢いMAXな曲を聴けば、その後に虹が見えるのなら雨もそんなに悪いものじゃないと確信できるような気になってくる。涙を流した目にしか見えない景色があるんだという気になってくる。いいぞいいぞという気分になってくる。後ろ向きの気持ちなどどこかに消え去ってしまうようだ。HPのプロフィールには、このMVで赤いSGを弾いているギタリストは昨年で脱退したとある。なんかもったいないな。リフもフレーズもとてもカッコいい彼女の存在はこの曲の中でもとても重要なポジションだったように思える。だが、彼女たちの勢いあるロックを聴いている限り、そんな脱退もあらたな景色への一里塚として前向きな姿勢に変えていってくれるのだろうと心から思えてくる。

(※2018.5.5時点で動画が削除されているのを確認しています。レビュー文面のみ残しておきます)
(2017.6.6) (レビュアー:大島栄二)
 


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