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sooogood!
『diamond』

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 今年の一大事件といえるカルヴィン・ハリスがファレルやケイティ・ペリー、フランク・オーシャンなど豪華で多岐にわたるアーティストをフィーチャーして世界基準でのポップ・アルバム『Funk Wav Bounces Vol.1』を創ってきたということは即効的な、また“アフターEDM“には生物体としての鼓動を揚げすぎるのではなく、一定の鼓動のままでも、まもられる、感じられるフィーリングもあるのではないかと思いながらこの曲を聴いていると、スムースにフィットしてくる。少しおどろきもある4分26秒からの獰猛なギターや轟音で雪崩れてゆくエンディングまで、表現の意味(と忌み)を分かっているとも思えるセンスと欲動に揺れているようなところも興味深く映る。

 シミズコウヘイによるプロジェクト、sooogood!。シミズコウヘイにおいてはHPを見ても多角的な活動をおこなっており、アートやカルチャーへの信頼も造詣も深く、カラスは真っ白のギタリストとしてや桐谷健太の楽曲アレンジ/ギター演奏/プログラミング担当、気鋭の役者たる菅田将暉の音楽活動全般(LIVE/レコーディング/MV)のサポート・ギタリスト参加、CMへの出演などでのマルチな動きは続きながらも、この曲は特に、今の時代に於けるマージナル(・マンたち)のためのようで、彼のこれまでのキャリアのように時代の風下に立たないところが聴いていても心地いい。このsooogood!では彼の本質たる部分がより出てくる気がしている。

 歌そのものは誰しもに届き、聴き易いようで、クラシックたる「Luv(sic)」のようなヴァイヴを持った上での柔和なR&Bで、このテンポで君に向けてのラブソングの核心を付かず離れずまわる印象を受ける。でもそんなに、のどかに「今夜はブギーバック」もできない瀬だから、照準の合わせ方を変えつつ、程良くリズムを落ちつけて、グルーヴの内側でダイヤモンドを磨きあげる作業みたく優しく、そっと耳元で愛的な囁きと強い意思のような姿勢を、誰にも奪われないように、大きな言葉より、小さく陶酔の共振を求めていたら、またいずれじわじわでもサークルが広がってゆくのかもしれないと思えもする。

 閑話休題。時代文脈や言語の差異は別に、筆者としてはこの曲『Frontin’』 を想い出してしまったのはあるが、複雑に入り組み、コンプライアンスや多種な過圧があちこちから掛かるばかりで、ファッションやアート、またラヴを巡る詩的表現というものの普遍なようで混線するところで、対象のない感情を懐(なつ)かせるようなこの『diamond』は何だか胸の中のシンプルな箇所に気付かされてしまう。

     耳をふさいで目をつむる
     心臓の足音だけが鳴り響く

 というフレーズが日本の中での気鋭たる世代から出てくるのは感慨深い。
(2017.8.8) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


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