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長靴をはいた猫
『勿忘草』

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 なんかスゴイなこの情念の固まりって感じの曲。シンプルな言葉が連なる歌詞の破壊力というか、こんなに想われるとちょっとキツいなという感じもあるが、じゃあ本気の好きっていうのは概ねこんな感じのはずで、そういう意味では情念の固まりというよりは、ピュアなLOVEとはこういうものなのかもしれない。そういうピュアな歌をどういう声と演奏がさらにピュアに聴かせるのかと考えていくと、こういう声と演奏に行き着くのかもしれません。鶴さんの声は全域にわたって高音に聴こえるのだけれど、これは音程が高音ということではなくて金属的な響きのする声ということで、それが低い音階のパートでも不思議な重さを伴って響いてきてて、そこに情念めいた重みを連想させているのだろう。さらにサビのあたりで音階的にも高いところに行って、この金属的な声質によるシャウトが、痛いくらいに突き刺さってくる。しかも歌詞が「いたい、いたい、いたい、いたーいー」とくれば、もう物理的にも心理的にも刺さってくる以外にありえない状況になっている。それを静かに支えるサウンド。イントロ部分のギターソロもやがてバンドサウンド全開になっていくし、そこでは決して静かではないんだけれども、最初のギターソロの静かさと、エンディングでの再びの静かなギターの響きと、ベースのハーモニクス的なアクセントが、楽曲全体のイメージを静かなものとして印象づけている。女性の情念に埋め尽くされた内面の在り様を見事に表現した秀作だ。
(2017.11.2) (レビュアー:大島栄二)
 


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