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ザ・クロマニヨンズ
『どん底』

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 今の若い人はザ・クロマニヨンズのことをどんな風に感じるんだろうか。若い頃にブルーハーツに接した人たち(今は完全に中年)はクロマニヨンズに当時のブルハのイメージを当然重ねるだろうし、そのイメージを持って聴くのと、今の10代から20歳くらいまでの人が聴くのでは、多分、まったく違った音楽に聴こえるんじゃないだろうか。このどん底という曲、とてもシンプルで、ひねりもまったく無いように感じる。最初は。ブルーハーツ以来ずっと一緒のヒロトとマーシーでは、ヒロトの書く曲の方がメロディアスで華があって、言葉の選び方も常人には真似できない突発さがある。だからパッと聴くとそっちの方が断然いいように思える。CMなんかで15秒使うんだったらきっとそっちが向いている。一方マーシーの曲はどことなく影をまとった渋い曲が多い。ブルーハーツとしてデビューして大人気だった時代、彼だけが真島昌利名義でソロアルバムを発表したりして、それがブルーハーツとかなり違ったサウンドで驚いたりしたのだが、聴き込むとそれが良い。いや、ヒロトの音楽が悪いということではなく、マーシの地味な音楽には噛むほどに味が出るような何かがある。この曲もそのマーシーの書いた曲で、最初聴いた時にはなんというシンプルすぎる曲なんだと、リズムもメロディももっとなにか出来ないのかと一瞬思う。思うのだが、レビューを書きながら何度も繰り返して聴くうちに、その噛むほどに出てくる何かがジワジワと浸透してきて、もうこの曲の虜。やっぱマーシーイイよな。でももう一度文頭の問いに戻るのだが、このクロマニヨンズを今の若い人はどんな風に感じるんだろうか。ヒロトは54歳、マーシーは55歳。オッサンだし、顔にも年齢相当の皺が刻まれている。そういうオッサンの歌うロックを若い世代はどう感じるのだろうか。もちろんオッサンにはオッサンの立場もあって、若いおにーちゃんの歌う人生とかに涙するのはなかなか難しくて、だからある特定の世代が心を寄せられるアーチストの年齢層というのも限られてくるのではないかと、そういう気はするのだが、しかし、クロマニヨンズくらいのパワーとクオリティを持っていれば、やはり若い人が初見であっても、その価値は直感的に理解できるのではないかと、若いからこそ余計に理解できるのではないかと、そんな風にも思ったりするのだ。サザンや山下達郎ならば同世代のファンがいつまでもライブに通って歳をとり続けていくことも可能だけれども、こういうパンクロックの場合は、歳をとったリスナーにはライブはキツいのではないかと思うし、だとすれば若い世代をファンにとり込み続けなければならないのではないかとも思うし。いや、完全に余計なお世話なんですけど。

(※2019.1.23時点で動画が削除されていることを確認しました。レビュー文面のみ残しておきます)
(2017.11.18) (レビュアー:大島栄二)
 


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