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小島麻由美
『泡になった恋』

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 昭和歌謡ブームというのが1990年代中盤に沸き起こった。沸き起こったというのはちょっと違うかもしれない。すでに趣味の多様化が起こりつつあった頃なので音楽シーン全体を覆うようなブームではなかったけれど、一部の音楽ファンの中ではレトロな歌もの音楽のことを昭和歌謡と呼び、その火付け役となったのが小島麻由美だった。1995年というと平成5年なのであって、まだ昭和に毛が生えたくらいの頃じゃんと思うだろうが、その時に昭和歌謡と呼ばれたのは1980年代のアイドルブームのような歌謡ポップではなくて、もっと古い、奥村チヨとかのいにしえの昭和の歌謡を取り入れたサウンドだった。正直言って、その頃にはその「昭和歌謡」ブームも小島麻由美のこともよくわからなかった。だがそれから25年ほど経って、小泉今日子も森高千里も原田知世もすっかりおばさんになり、それでもテレビに出てきてスポットを浴びてて、昔は良かった的に松本隆だ筒美京平だ阿久悠だと言ったりしてる様子のことを、彼女たちのアイドル時代のことを知らない若い世代はどう思っているんだろうかと考えたら、なんとなく腑に落ちた。判らなくて別にいいのだ。当時の僕が判ったか判らなかったかは別としても、小島麻由美は25年後の今もスタイルをまったく変えていなくて、昭和歌謡的なテイストを存分に発揮していてすごいなと思う。そのテイストを好きか嫌いかは別として、自分のスタイルを確立しているわけで、それは長い芸歴で確立したのではなくて出発の時点で確立していたということで、それは本当にすごいことだし、ホンモノなのだろう。本当は昔のセシルあたりのMVを探し出して紹介すべきなのかもしれないけど、2014年に公開されているこの比較的最近のライブの方が彼女の昭和歌謡的なテイストはよく出ていると思うので。バックを固めているのがカジヒデキとかハッチハッチェルとか塚本功とか、これまたいつの時代なんだろうかとよくわからなくなる面々で興味深い。あと1年もしないうちに平成も終わって、昭和歌謡というジャンルはまた歴史の向こうに行ってしまうのだろうが、小島麻由美のいつまでも歳取らない雰囲気がある限り、現役の音楽ジャンルとして存在し続けるのだろう。
(2018.5.12) (レビュアー:大島栄二)
 


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