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titilulu
『サイケデリック七変化』

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 女性ボーカルのバンドは本当にたくさんたくさん腐るほどいるけれど、その中で頭角を現すっていうのにはいったい何が必要なだろうか。サウンドが良いとかルックスが良いとかインパクトあるとかいろいろ基準はあると思うけど、結局は勢いがあるということに尽きるのではないだろうか。2015年にメジャーデビューしたShiggy Jr.なんかも当時勢いあって、当時の他の同レベルのアーチストたちと何が違ってたのかって結局勢いだけだったのではないだろうか。その後事務所もレーベルも移籍してあの時のような感じは感じられないんだけれども、まあそれはそれとして、瞬間瞬間の勢いというのはスゴく大事。音楽やパフォーマンスの良さだけで評価してもらえるというのはとても稀で、勢いという名の空気で評価する人がとても多いから。
 このtitiluluというバンドの新しいMVを見ているとどことなくそんな勢いのようなものを感じる。いや、勢いというのは単にビデオの映像だけで生み出されるものじゃないので、MVだけで勢いを感じるというのは正しくはないのだけれど。しかし2017年までのMVにある曲調とはまったく違った雰囲気を持っていて、新たに纏った雰囲気には明らかに進んでいこうという意思が見て取れて。こういう「進んでいこうという意志」は事務所などの方針に最初から100%のっかった「アーチスト」たちにも見られる傾向だが、初期のアンダーグラウンド的にこじらせた感のある表現の時代を経ていない「アーチスト」は事務所やプロデューサーとの縁が切れたらもう何をしていいのかわからなくなって瓦解していく。しかしこうして一度こじらせつつ試行錯誤して、こういうまっしぐらな勢いに辿り着いたアーチストは強い。勢いに賭けて聴くアーチストを選択するのなら、そういう一度こじらせ系のアーチストを選ぶと良いよ。もちろんうまくいかなくて瓦解することだって当然あるけど、可能性としては低い。その差は若干程度に過ぎないけれど、それでも賭けるのなら少しでも確率が高い方がいいじゃないか。
(2018.6.5) (レビュアー:大島栄二)
 


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