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Blue Bird's Claxon
『青い春』

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 激音。この動画も他の動画と較べて音圧強いし、そういうことだけでも激音になったりはしているんだけれども、それだけじゃないというか、この曲を構成しているいくつものパーツが激音につながっているようだ。ベースの粒がそろってサウンドの中央で「絶対ここを譲らねえ」と主張している感じや、ギターの高音で歪ませつつも中音域を太く残している音作り、スネアが全部の音で革が割れるんじゃないかと思うようなドラム。そしてもちろんボーカルのがなり。じゃあどんなバンドもこんな風に音を作れば激音になるのかというとそんなことはない。レコーディングをしてミックスをする時に核メンバーが「自分の音を大きくしてくれ」とエンジニアにリクエストして、ひとつひとつ大きくした結果、ただ全体が大きくなっただけで全然激音になどなっていないということはアマチュアバンドのレコーディングには多い。全部の音をちょっとずつ大きくしたところで激音になどはならないのだ。それを理解した上でひとつひとつの音をどう調整しようかと工夫するのは、ベストレシピの調味料バランスを探し当てる挑戦にも似て、ほんのちょっとのバランスの狂いがただマズい料理を生み出すだけになってしまう。炒飯にピッタリの調味料バランスと麻婆豆腐にピッタリの調味料バランスが違うように、同じバンドでも曲が違えば音の最適バランスは違う。この『青い春』という曲はある意味奇跡的なバランスを実現した名作と言っていいのではないだろうか。聴いていて、かつてストリートスライダースが鳴らしていた音を思い出す。彼らの曲もひとつひとつの音はそんなに特殊なことなど無いのに、トータルとして激音だった。当時のバンドの中で比較する相手がいないくらいに特殊なバンドだった。そのことを思い出した。いや、Blue Bird's Claxonというまだ若いバンドが今の時点でスライダースに匹敵するとかそういうことではないけれど、こういう爆音激音を鳴らしているバンドのことは注目していきたいと自然と思ってしまうのだ。
(2018.7.12) (レビュアー:大島栄二)
 


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