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柴田聡子
『ワンコロメーター』

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 柴田聡子あいかわらずスゴい。musiplでのレビューは4年ぶりだけれどもその間に詩人としても賞とって文芸誌で連載とかし始めて、ますます何の人なのかよくわからなくなってて。ミュージシャンとか歌手とか詩人とかじゃなくて、要するに才能人なのでしょう。前作のMV「後悔」がほのぼのとしたテイストの中にドロドロとした情念を含んでいてスゴくて。クラスの中に数人は必ずいる、無口で笑顔を絶やさない静かな、恋愛なんてまったく考えたこともないような3年間を過ごして卒業するような人の、心の中に秘めていた本音がその教室内をどのように見ていたのかを擬似的に公開したようなその曲の圧倒的パワーがスゴくて。柴田聡子はスゴいなあと思っていたそのスゴさとはまったく違った種類のスゴさをこの曲では見せていて。吉田さんちの犬(ワンコ)がいなくなったというだけの曲。曲というか歌。歌というより唄。まあ呼び方はどうでもいいけど、そのたったそれだけの唄を表現する柴田聡子とその仲間たちの真剣度合いがスゴい。さっき触れた「後悔」でドロドロとしたリアルを歌う彼女の表情がほんわかとしたものだったのに較べ、どろどろなどとは真逆のこの曲を歌う表情の目の恐さ。聴けば聴くほどのめり込んでしまうこの不思議な歌。考えてみれば恋愛について人が真剣になることと、犬の飼い主が犬について真剣になることとは、どちらがより真剣とか重大とか比較すること自体無意味なことで、そういう意味ではこの唄について「たったそれだけ」と評することはきっと間違っているのでしょう。
 それにしてもこの曲は、ライブでは盛上がるんだろうなあ。アップテンポだし、息つく間も無いくらいの勢いだし。一心不乱にギターを掻き鳴らしながら歌う柴田聡子と呼吸さえ忘れて魅入る観客の謎の緊張感を想像するだけでもうお腹一杯になってしまうような気がしました。
(2018.11.29) (レビュアー:大島栄二)
 


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