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Say Sue Me
『Old Town』

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 韓国のポップバンドSay Sue Me。彼らを紹介する文章には「60年代サーフロックと90年代のインディ・ロックのポップセンスが融合したスタイル」とあって、正直いってその文章ではよくわからない。確かに90年代のLucy Van Peltを彷彿とさせるどこか物哀しいポップミュージックで、その点では90年代の云々というのは的を得ているとは思うが、そんな60年代の音楽や90年代の音楽との比較で紹介したところで、2010年代も終わろうとしている今の時代に、何の意味があるのだろう。昨年から何度か来日公演を果たした彼ら。シンプルなスタイルで自然体のパフォーマンスが心地良い。既にヨーロッパのレーベルと契約して音源をリリースしていて、この映像もアメリカでの音楽フェスSXSWでのもの。軽やかにワールドワイドな活躍をしているバンドに「来日公演を果たした」などという言葉は少々失礼かもしれなかったりするが、配信のみであれば全世界の無名アーチストも全世界リリースを容易にできる今、ワールドワイドな音楽活動っていったい何なんだろうという気もしてくる。要するにどこで活動しているとかその規模がどうかとかいうこと自体がナンセンスな話で、良い音楽はいい、良くないのは良くない、ただそれだけなのではないだろうか。韓国のミュージシャンが国内規模の音楽シーンではビジネス的成功が難しいから全世界に向けた活動を指向するというのはよく言われた話で、だから日本のミュージシャンは日本国内のマーケットだけで成立するから無理に海外に行かなくてもいいんだよなどとかつては言われていたんだけれども、それももう過去の話で、そろそろ日本のミュージシャンも海外に向かった活動に本腰を入れていかなければダメなんじゃないかと、こういうバンドの音楽を聴いていると思わずにはいられない。もちろんただ海外に行けば良いという話ではないのだけど、日本国内がバラ色だというのはもはや幻想でしかなく、多くの海外バンドが世界ツアーの際に日本をパスしているという現実を考えても、そういう動きのミュージシャンがどんどん出てくればいいのにと思っちゃう。
(2019.2.5) (レビュアー:大島栄二)
 


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