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それでも尚、未来に媚びる
『まれびと』

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 それでも尚、未来に媚びるっていうのはどういう意味なんだろうとか、バンド名の途中に句読点があるっていうのはなんとも表記しづらいなとか、ドリカムとかミスチルみたいに省略するのならソレナオなのかソレミラなのかソレコビなのか一体どう呼ばれてるんだろうとか、そんなことばかりが頭の中を駆け巡る。そんなことを考えてしまってる時点でバンドの術中にはまってるんだろうとは思うが、仕方ない(最後の問いには彼らのホームページアドレスが「sorekobi.com」だという点に答えのすべてがあるだろう、多分)。そんな彼らの術中にハマりつつも、曲を繰り返し聴いていて感じたのは、これはアップテンポなバラードであるということだった。バラードというものに決まりがあるわけではないだろうが、バラードといえばスローテンポで訥々と歌い上げるものだと思ってた。ビートを効かせる演奏なんてもっての他で、そういう演奏にした瞬間に原曲がバラードであってもバラードでは無くなる。しかしこの曲は速いビートでロックンロールそのものなんだけれども、佇まいとか迫ってくる感情の波がバラードのそれで。いや、もちろんロックンロールだし、彼らのHPでは「バーニングエモーショナルファイヤーロックバンド」と自己紹介されてて、だから別にバラードに特化するというよりはもっともっとパンキッシュな荒ぶるライブを展開しているバンドなのだろうと思う。この曲だって彼ら自身はバラードを歌っているなんて微塵も思っちゃいないはず。なのに、曲全体から立ちのぼる総合的な雰囲気というかオーラというかイメージというか、呼び方はなんでもいいけれど聴いててまさにバラードのそれ。一体どういうわけなんだろうかと考え続けて得た結論は、要するにこの曲はエモーショナルなのだということ。音楽ジャンルでエモというと既に一般的なもので、エモバンドと自称するバンドはとても多いが、そのほとんど97%くらいはエモといってるだけで、先人のスタイルを模倣するばかりに終わっている。スタイルにエモーションが伴うわけもなく、だから彼らの奏でる曲には何の感動もないのだ。しかし、このソレコビはいわゆるエモバンドのスタイルなどまったく無縁で、なのにこんなにも感情を揺さぶるような表現を実現できている。そうか、彼らのHPにある自己紹介の中に「エモーショナル」という言葉があるじゃないか。彼らは有象無象のようなエモバンドとは違う、バーニングエモーショナルファイヤーロックバンドだったのだ。まあそういう肩書きというかジャンルを、言葉だけならなんとでも言えるが、実際に中身が伴っているのは珍しい(いや、バーニングとかファイヤーはよくわからんが)。彼らの他の曲もそのうちに是非チェックして、バーニングとかファイヤーといったあたりの核心にも迫ってみたいなあと思う。
(2019.4.11) (レビュアー:大島栄二)
 


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