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POLTA
『さいごのドライブ』

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 ポップに明るく深刻なことを歌わせたらPOLTAの右に出るものはいない、というのが前回のPOLTAのレビューでも冒頭から断言した評価なのだが、この曲でもまったくそれが当てはまる。今回の場合深刻というか、切ないということなのかもしれないけれど、抗えない別れは切なくもやはり深刻なのかもしれない。70年代アイドルのような歌唱でこういう深刻さをサラリと歌う尾苗愛だしその魅力は底なしなのだけれど、今回この曲を聴いていて、ベースとドラムのフレーズと鳴りが、ああポップだなあという印象を強く持った。Bメロあたりでのドラムのドンダダドンダ、ドンダダドンダという鳴りが最高だ。それに負けないようにとベースもかなりバンババボボボボと力強く弾かれていて、それがダンスしようぜと誘っているように聴こえる。ポップに響く所以なのだろう。最後の歌詞が終わったかと思うと「ドライブ ドライブ ドライブ ドライブ トゥ ダ クレメタリウム」というわけのわからないフレーズを歌ってて、その辺もすべてポップに聴こえてくるから不思議だ。推測だが、この曲で描かれている切ない別れというものの深刻さをアホかと思っているのではないだろうか尾苗愛は。だからMVでも別れのシーンで新しい世界の側として登場してくるし、常に「次」を指向してて歌うから、残された人の気持ちの重さなど歌に現れないのだ。それがいいかどうかは誰にもわからないが、少なくとも別れという地点から先の世界というものはあるわけで、そこでのワクワクを多めに感じながら生きた方が、人生は楽しい。3月は別れの季節で、多くの人が大切な人や場所と別れることになるだろうが、そういう時には、この曲を聴いて次の新生活に軽やかに心を馳せるとイイのではないだろうか。
(2019.4.13) (レビュアー:大島栄二)
 


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