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およそ3
『ヘッドホン・ガール』

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 広島の怪バンドおよそ3が東京に進出してしばらく経つ。進出したのっていつだったっけ、webにも書いてないし昔そういうのTwitterかなにかで見たような気がするけれど、彼らの場合普通のバンドが東京進出という時に醸し出す覚悟みたいなものはまったく無かったし、もしかしたら彼ら自身も東京進出とか自覚してなかったりするだろうし、実はもう広島に住んでたりするかもしれないし、まあ、その辺のことはどうでもいいです。良い音楽を作ってさえいれば、どこにいようが構わないし、別に良い音楽なんて作らなくったって、人はどこにいたって別にどうだって良いことだし。
 しかしながらこのMVでは東京に進出しましたよ的な演出が施されてて。広島駅や原爆ドームを背景に踊っていると思ったら東京タワーを背景にしたりしてて面白い。だが僕はこのMVが次々と背景を変えるのにつながりがめちゃ良くて、そのことに驚いている。3人の立ち位置とカメラの位置。これがちょっとでもズレるともうダメ、つながらない。なのにこのつながりのスムーズさは一体なんだ。実に綿密に制作しているのがそういうところからわかる。CGにめちゃ凝るとか、大物俳優連れてくるとか、美形モデルを連れてくるとか、MVを作る上でわかりやすく頑張ったのがわかるポイントはあるし、それはそれで金かけたなとか思うけれど、このMVみたいにアイディアと緻密さだけでわかりにくく頑張ってるのを見ると、本当にすごいなと感嘆する。およそ3は楽曲もちょっとばかりふざけたテイストのものが多くて、そういうのはマジメなバンドが売れるために目立とうとして色々考えて変化球的な楽曲を捻り出したりすることが多いんだけれども、彼らの場合は売れるためとかじゃなくて自然体でふざけた楽曲が出来上がる(んだろうと思う)。しかしそういうふざけた楽曲を至極マジメにやるから、そのマジメ部分がなかなか伝わりにくい。いや、そんな陰の努力は別に知ってもらいたいようなことじゃないだろうし、リスナーの僕らは表面に現れてくるふざけっぷりやポップネスをシンプルに楽しめばいいだけではあるけれど、僕みたいにひねくれた人が、縁の下のなんとやらの努力部分を時々感じたりするのも悪くないことかなあという気がする。
 あと、バンド名の「およそ3」が「およそスリー」じゃなくて「およそさん」だということを今回の曲で初めて知って驚いた。本当に驚いた。およそ・さん、なのか…。まあ日本語でよめばそれが普通なんだろうけれど、まさか「およそ・さん」だとは思わなかった。驚いた。
(2019.5.17) (レビュアー:大島栄二)
 


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