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UQiYO、せわしなく動いてゆったりを奏でる

〜UQiYOライブツアー京都公演ライブレポート〜 文=大島栄二

 先月レビューが公開され、4月の月間アクセスランキングにも9位にランクインしたバンドUQiYOの全国ツアー『TWiLiGHT 夕陽と雨と虹とキラキラと』が展開中。先日京都でのライブが行われたので観に行ってきた。


ミュージックビデオではわからないこと

 

UQiYO『Twilight』

 

 UQiYOのビデオは洗練されている。音楽ももちろん洗練されているのだが、ビデオのクオリティがとても高い。レビューでも紹介された『Twilight』の動画を見てそう思った。荒野を歩いて旅する女性のロードムービーを観ているかのよう。これが映画みたいだとしたら、音楽は当然映画音楽のようであり、クオリティの高い音楽とクオリティの高い映像の親和性はとてもよいということをあらためて確信させてくれるビデオクリップだった。

 この映像から受ける彼らの印象が「じゃあライブではどんな感じなのだろうか」と想像することを邪魔する。想像し難いのだ。初めてのアーチストのライブを観るというのは、想像を膨らませて期待を高めて行くというものと、想像ができない何かを好奇心で覗きにいくという2種類がある。UQiYOのライブはまさに好奇心が足を身体を会場に向かわせるという、そういうタイプなのだと思う。



せわしなく動くことでゆったりを奏でる

 ライブの会場は京都のカフェ。僕も時々ランチを食べに行ったりする場所で、こんなところでライブをやれるのかと思っていたら、見事にライブスペースが出現していた。客席と段差のないステージにはいろいろな機材が置かれ、ケーブルが床を這うようにそれらを接続している。それを駆使して歌い演奏する彼らの第一印象は、「せわしないグループ」だった。

 ボーカルのYuqiが小道具のような楽器を出してきてはちょっと音を鳴らして引っ込める。だがその音は繰り返し鳴っている。すごく忙しそうに見えるその行動が「せわしない」と感じさせるのだが、単に慌てているのとはまったく違う。彼は音を鳴らしながら、重ねているのだ。レコーディングでは普通のことだが、ライブでそれを可視化してみせているのは意外に珍しい。上で紹介しているMV『Twilight』の冒頭で軽やかな音とともに呪文のようなボーカルが4回繰り返されるのだが、これをステージでも再現している。

 途中のMCで種明かしがされる。「僕たちはルーパーというのを使って、音をその場で録って重ねて鳴らしていくんです」と。音楽を作る人にとってはそれほど珍しくないグッズでも、ただ聴くだけのリスナーには「何だそれ?」だったりする。そのルーパーという機械について楽器屋さんが紹介しているビデオを参考にしていただこう。


 

「ギタリストにより設計されたギタリストの為のルーパー」

 


 ルーパーで音を録音すると、一定のリズムに合わせて繰り返して鳴らしてくれる。それによってさっき演奏された音があたかも今演奏されているように聴こえる。サンプラーとリズムマシンが一緒になったような機械で、それを使うことで少ない編成のユニットでも多くの音を使いながらライブをすることが可能になる。

 そういう機械を駆使するということは、言い換えればその手間が増えるということでもあり、結果的にステージ上の動きはせわしない感じに見えてくる。多くのメンバーを従えていればただ歌うだけでいいのかもしれないが、彼らは敢えて最小限のメンバーでレコーディングの音源と同じ音を再現することを選んでいるのだから、多少のせわしなさは仕方がないし、僕から見ればその「せわしなさ」がとても面白く感じられたのだ。

 例えていうならば、それは水鳥を見ているような体験だ。湖面に浮かぶ水鳥は優雅で、見ているだけで癒される。だが水上に見える姿とは裏腹に、水面下で水鳥は懸命に水をかいているのだ。多くのエネルギーを費やすことで、あの優雅さは生まれている。UQiYOのライブ、音楽表現には、それに通じる何かがあるように感じた。



UQiYOの音楽

 演奏の様子の興味深さはともかく、UQiYOの音楽とはいったい何なんだろうか。せわしなげに奏でられるのはやわらかな曲。なだらかに心に侵入してくる曲。映画音楽というのが映像の添え物のように思われがちだけれども気がついた時にはその曲だけが神経に残っているような感じで、UQiYOの音楽はガツガツと何かを主張するようなものではなく、ただそこで奏でられていて、気がついた時に残っている音楽だ。だからビデオクリップが映画のように感じられるのかもしれない。

 バンドが英語の歌詞で歌うことも多く、パンクロックのように主張を前面に押し出す音楽で英語詞はどうなんだと思うことはしばしばだが、UQiYOの場合はこの英語詞が実によくフィットしていた。言葉も含めて全体がサウンドとしてなだらかに鳴っている彼らのような種類の音楽では、歌詞の意味性というものがあまり前面に出てこない方が結果的に良いのかもしれない。主張し過ぎない表現の在り様が、空間の居心地の良さを演出している。

 とりあえず、当日の演奏の様子を撮影したのでご覧いただきたい。その方がきっと早いだろう。

 

UQiYO「5 years in」

 

 iPhoneのカメラで撮影したビデオなので、画質も粗くアングルも単調なのは申し訳ないが、会場の雰囲気くらいは伝わるのではないだろうか。この『5 years in』という曲ではPVの『Twilight』とはまったく違うスローでムーディーなバラードだ。スローながらもサビからの感情の一気の盛上がりは興味深く、それまで静かに哀愁を携えていた曲調が俄に希望に包まれる様がグッとくる。

 

UQiYO「Kyoto, the Valley」

 

 この『Kyoto, the Valley』という曲は作った時からいつか京都で演奏してみたいと思い続けてやっと実現したとのことで、本人たちも感慨深かったそうだ。京都を意識するとなぜ和のテイストになっていくのか。「さくら」という単語がそうさせるのか。理由はよくわからないけれども、他の曲が無国籍で大陸的なものを感じさせるのとは明らかに違う何かを感じる。

 他の曲はどうなのだろう。やはり気になる。そういう人は現在発売中のアルバム『TWiLiGHT』を買って聴いてみてはいかがだろうか。彼らの幅広くて自由な音楽性を感じ取れるに違いない。

 そしてやはり、彼らの良さはライブに詰まっていると思う。洗練された音楽が生まれ出る現場をリアルに体験できるし、それにMCが面白い! これだけ洗練された音楽があればもうそれを聴くだけで十分ではあるのだが、MCのとぼけた感じが、芸人さんかと思わせてくれるユニークな味を持っているのだ。そんなMCも含め、せわしなく動くように思えるそのステージングは、要するにリスナーを楽しませるために出来ることすべてを彼らが惜しみなくやっているということなのだろう。4月に始まった12ヶ所のツアーも残す所あと僅かにはなっているものの、4公演がまだ残っている。お近くの人は足を運んでみてはいかがだろうか。



UQiYO 2015 Tour TWiLiGHT
         〜夕陽と雨と虹とキラキラと〜


2015年4月25日(土)名古屋 夜空に星のあるように OPEN/START 19:00/19:30
2015年4月26日(日)三重 四日市 MONACA OPEN/START 16:00/16:30
2015年4月29日(水・祝)福岡 博多TAGSTA OPEN/START 18:30/19:00
2015年5月6日(水)北海道 札幌provo OPEN/START 17:30/18:00
2015年5月16日(土)山梨酒蔵 櫂 OPEN/START 17:00/17:30 
2015年5月17日(日)静岡 富士cafe sofarii OPEN/START 14:50/15:30
2015年5月18日(月)京都さらさ花遊小路 OPEN/START 18:30/19:00
2015年5月19日(火)大阪 梅田シャングリラ OPEN/START 18:30/19:00
2015年5月29日(金)宮城 気仙沼co-ba kesennuma OPEN/START 18:00/18:30
2015年5月30日(土)仙台arrondissement(ワンマン) OPEN/START 17:30/18:00
2015年5月31日(日)群馬 桐生Club Block OPEN/START 17:00/17:00
2015年6月13日(土)東京 渋谷O-nest(ワンマン) OPEN/START 18:00/19:00


   
         
 

2015.5.22.寄稿