My Hair is Bad
 
『戦争を知らない大人たち』
 “戦争を知っている大人たち”の一人として、秩序や共同体が壊れるときに人は何に向かうか分かるだろうか。支え合いや互助もあれども、結局は痛覚への「麻痺」だと感じる。現実感の麻痺。目の前に起きていることに思想が追いつかない。ギターノイズに塗れて、四畳半に行き交う想像力と日常との対比。それを上回る戦争の予兆/グッド・ナイト。背反しながらこの今に響くのは切なくも一つの真実なのだろう。戻れない道で、捲し立てる日常の言霊が昇華されたときに……
 
  (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))  

 
『優しさの行方』
 天変地異と政情変化の大きなうねりの中で翻弄されるのは止むを得ないにしても、世界中で個々のこれからの生活への不安を殺伐とした何かに変換するより例えば、ビットコインが生み出す可能性や掘り起こされる新たな小さな町に目を向けてもいいような気がしていたら、自身の知己があることで亡くなり、そういう厳しさの中を生きているのだと噛み締める。愛や夢や希望がそのままに響くとは勿論、思わない。この歌詞にあるように「本当のこと」を知りたくない。でも……
 
  (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))