椎名林檎
 
『人生は夢だらけ』
 この曲で歌われている「人生」とはなんだろうかと考えながら聴く。誰のものでもない自分自身の人生が夢だらけと高らかに歌う。全編を通して歌われているのがかなり女性としての乙女的な幸せのように感じる。「あの人」に愛してもらいたい。誰かを愛したい。私の自由。この人生は夢だらけ。それが往年のハリウッドミュージカル映画を思わせるような曲調とビデオ構成。ノスタルジックな過去の美徳に浸るのはいいのだが、そしてそれを自分の夢として規定するのも……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎』
 ええ、スゴいですよ。2人2様の武器みたいなのを惜しむことなく繰り出して相手をなぎ倒そうというような迫力を感じます。冒頭宇多田が全然笑ってない笑顔で淡々と歌ってて(もうこの時点でコワい)、そこに被ってくる椎名林檎の「何、その程度なの?」と言わんばかりの無表情。そして2番でがっつり響かせるリンゴソロ歌唱。この人の声はやっぱ迫力ですわ。第一声でKOしちゃいますわよ的なインパクト。その一撃をさらりとかわして微笑む宇多田。ホントコワい……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『青春の瞬き』
 今でも天才だと思っている。だが、椎名林檎は最初の頃に抱いた天才への期待を未だに超えていない。それは大きな期待を抱く側の罪か、それとも持てる才能を出し切れずにいる側の罪か。はたまたそんな期待を抱くには足りぬ凡才でしかない者の罪なのか。その場合は凡才に罪は無く、無理な期待を抱いたりする側にのみ罪はあるのだが。
 大晦日に、紅白で椎名林檎がこの曲を歌うのを見た。東京都庁からつり下げられて降りてくる2人の女性。それはMVで椎名林檎自身が……
 
  (レビュアー:大島栄二)