松本佳奈
 
『あの陽だまりは瞼の裏』
 音楽で生きていくということが以前のようには容易ではなくなった時代、それでもミュージシャンは音楽を紡ぐ。それは音楽で生きていくというのではなく、音楽をやるために生きているという佇まいのようだ。
 松本佳奈というシンガーはプロなのだろうか。それともアマチュアなのだろうか。2015年に初めてレビューを書いて、その時にTwitter経由で感謝の言葉をいただいた。面識は無いのに、垣根のない人だなと思った。その松本佳奈さんが出産されたということを昨日ブログで公表した……
 
  (レビュアー:大島栄二)  

 
『Strings』
 澄んだ太い声。太いのに、澄んでいる。こういう声の歌手は以前は多かったように思うのだが、最近はあまり耳にしない。あまりのオーソドックスさに歌が原点回帰したかのような新鮮さを感じる。いや、個人的な感想に過ぎないのだが。このオーソドックスな歌声で綴られる世界は、単に嬉しいとか悲しいとか、愛だの恋だのとか、少年少女のピュアな世界のものではなく、一度深い哀しみに触れて世界を見回し、ボロボロになりながらも最後に掌の中に残った幸せや願いを……
 
  (レビュアー:大島栄二)