おぐまゆき『路地裏の僕』 Next Plus Song植田章敬『Pink』

STAYCOOL
『Through the Viewfinder』

 STAYCOOLというある種、ストレートなバンド名と比して、彼らは老成から始まっている。兵役を終えて、社会人としての20代半ばのメンバーたちが集まり、紡ぎ出した音楽は台湾という場を越えて、涼やかな感触をもたらせた。2013年には、日本デビュー盤として『Urban Canyon』がリリースされたのもあり、存在は日本国内でも認知され始めた。また、シティ・ポップを軸にスイートなポップを届けながら、メンバーそれぞれが自身の日常生活をベースにしているところも面白い。ヴォーカルのウィルが運営するカフェから頂いた珈琲豆も香ばしく吟味されたもので、そのカフェでも時おり、のんびりとライヴも行われるという。主に、作曲を担うスタンリーは台湾の幾つものミュージシャンのプロデュースをつとめ、結婚をしているメンバーもいれば、と、何かしら音楽そのものの前に自身のしたいこと、生活地盤を固めて、いざ、STAYCOOLとして集まれば、柔らかくも絶妙なバンド・アンサンブルが生まれるというのは、この時代ではひとつのオルタナティヴ、代案的な在り方を示唆する。この映像からも伝わってくるように、適度に肩の力の抜けた佇まいくらいで、過重な情報量をときにスルーして、行進を続けていってもいいのではないだろうか。
(2014.4.21) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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