植田章敬『Pink』 Next Plus Songsugar me『As You Grow』

sleepy.ac
『賛歌』

 北海道、札幌の地から、自身のインソムニアを治す為に自ら音楽を紡ぎ始めたボーカル・ギターの成山剛のブレなさはそのままに、キャリアを重ねる中で、黙示録的な要素はグッと減り、アブストラクトに、内省だけではない、深みのある語彙と、浮遊感、または、シエスタのための因子が複合的に絡まっていった。他者性もしっかりと巻き込んでいき、それでも、水槽の中でたゆたう、か細い光のようなサウンド・テクスチャーとともに、攻撃的でラウドなバンド・サウンドも閉じ込めて、移り変わりの早い音楽シーンの中で、密やかな“自分たちの声色”を守り続けている。これは、アコースティック編成の際に名称されるsleepy.acとして、ストリングス・ダブル・カルテットを招き、教会でおこなわれたライヴの一篇。「賛歌」という曲は07年の4枚目のアルバム『fantasia』に入っているが、このヴァージョンで聴くと、また違った感覚をおぼえる。昨今の日本で、不眠を訴える人たちが国民病ともいえるほど、老齢者のみならず、様々な年齢層でも多くなった瀬に、枕や快眠グッズなどが持て囃されるが、しかし、どうだろう、この彼らの音楽を聴いていると、静かに健やかな眠りと穏やかな心境を誘われるのではないかと思う。「春を抱き眠る夜は、言葉を忘れる旅に出よう。」という詩が瞼をやわらかく触れるように。
(2014.4.23) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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