Inside of the door『11月』 Next Plus Songナードマグネット『ウェンズデイ』

モケーレムベンベ
『ふらふら道中』

 平成不況で出口は無いとか、311以降の価値観の変化とか、自分のことで精一杯になってしまって自分だけが不幸なんじゃないかとか思うけれども、歴史を振り返ってみれば関東大震災の後にはやはり価値観が激変したそうで、今とたいして違いの無いことはいつの世にも起こっては消えているんじゃないかと思うけれど、当時の重さは歴史の教科書を幾ら眺めてみてもリアリティとして押し寄せてくることはない。この曲では冒頭から底の浅い善意を皮肉るような歌詞世界が歌われていて、でもけっしてあざ笑うとか高いところから蔑んだりするわけではなく、等身大の自分の姿として受入れ、それでも生きていくんだという決意のようなものを沁み出させている。強いインパクトではなく、日常で歩きながら街並を確認しているようなスピードの沁み出し方。「ゴールのない綱渡り、流れる景色があるばかり」という、人生ってそういうものなんじゃないかと、聴きながらじわじわ噛みしめられたらもう十分のような気がした。
(2014.8.19) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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