野上智子『tonight』 Next Plus Song原田知世『くちなしの丘』

バンドごっこ
『雨の日の恋人』

 当初はバンド名そのものが「バンドごっこ」というところに気が惹かれたが、音楽そのものが不思議と癖になるフックがちりばめられている。この曲だけを聴くと、例えば、RADWIMPSみたいなギターロック・バンド、という感想も出るかもしれないものの、HPを見れば、真面目にふざけているようなところがありながらも、お面を被っているメンバーがいるように、それも一つの何らかのカモフラージュにも思える。いきなり砂金を掘り当てるように、全くオリジナルな音を生み出せるのならば、誰しも、すぐに“そこ”を目指すだろうがでも、“そこ”はない。精確に言えば、そこが“ここ”になったときに、~みたいな、という周囲の意見は少なくなり、消えてゆくのだと思う。彼らには”ごっこ“では終わらない探索と試向を続けてゆくような気配がこの曲やMVの端々から感じられるのもそういうことで、幾つものオマージュ、デ・ジャヴの破片を逆手に取って、より存在感を増していけば、しっかりとした記名性を帯びた”バンドそのもの“になるような期待を持てる。これまでの既存の雨から守るための傘(過去の集積)は自らで折って、新しい誰かの傘(新しい未来)の下に入る絵図を辿るのは決して悪くないスタンスだと希う。
(2014.11.18) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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