別野加奈『濾過装置の悲しい仕組み』 Next Plus SongSatomimagae『Niji』

イヌガヨ
『ロックンロール』

 ピアノだかギターだかエレクトロニカだかEDMだかなんだかの最新ロックバンドが立ち並び競い合っている今のシーンの中で、この武骨なだけの曲は圧倒的にカッコ悪い。だが、そのカッコ悪いことこそがロックンロールだったのではないだろうか。様々な機械のマニュアルを熟知して駆使して聴いたこともないような音楽を作ろうとして皆が結局どこかで聴いたような同じ音しか出せていないことに対して、アンプのボリュームを回すことしか知らないようなロックバンドが、そのロックであることに集中することによって初めて出せる音。そしてその音には楽器を鳴らす者の人生も哲学もすべてが乗り移る瞬間がある。たとえ本人が意識していなくともだ。そんな瞬間こそロックの神様を信じてみようかなとリスナーが思ってしまう時なのだろう。いや、そんな神様を信じてしまった日には、スマートな生き方などはドブに捨てることになるのだろうけれども。それはそれ、アンチスマートな生き方にも、きっと幸せな何かはあるよと。信じる者は救われるよと。
(2014.12.9) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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