EPO『私について』 Next Plus Song小林未季『テンポ』

アザヤイタ
『最愛』

 とにかく荒れておるな。暴れておるな。音楽が表現するもののひとつとして感情というものが確実にあって、それが彼らの表現するすべてであるかのように、歌いながら弾きながら暴れている、のだろう。ではそれは目を閉じて耳だけで聴いた場合にも暴れることによって表現した感情は伝わるのかという疑問はあるのだが、それはラジオオンリーの時代の定義に過ぎず、音楽というのはもはや総合表現の領域に全身をどっぷりと浸けているのではないかというのが僕なりの回答だ。そういう意味でこのアザヤイタのボーカル深井が平衡感覚を失ったかのような傾いた姿勢で絶叫する表現もまた、現代の表現そのものだといえるのだろう。ではブルーハーツ時代のヒロトも傾いた姿勢で歌ってなかったかと言われれば確かに傾きまくっていたわけで、彼などは楽器も持たなかったから傾いたままステージの端から端まで移動したりしてて、今よりも全身で感情を表現してたじゃんという想いに戻ってきて、結局堂々巡り。彼らの同曲のライブ映像も見ると、演奏をしなきゃいけないライブの時はそこまで傾いてないぞ、そして客席をしっかりと睨むように見ているぞ、ということに気がつく。結局、時代はどうあれ、表現者が自分の表現を全うするためには持てるものをすべて出し尽くしてこれでもかとアピールする以外に方法はないのだろう。見ていて全力を出している感がとても良く伝わってくる彼ら。心の片隅でひっそりと応援したい。
(2015.3.2) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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