台風クラブ『処暑』 Next Plus SongThe Vaccines『Handsome』

私の思い出
『荒野のネッカチーフ』

LINEで送る
 このアホさ加減は一体なんだろうか。キライではない。キライなんかではない。いや、好きだ。かなり好きだ。とっても好きだ。愛や恋や世の中の矛盾を歌うという行為には誰も後ろ指を指すことの出来ない正当性みたいなものがみなぎっていて、だからなんか優等生的で、いいんだけれども、いいんだけれども。このバンドのこの曲はそういう優等生的な何かとはカウンターカルチャーのような、何故それを真面目にやる必要があるのだと聞きたいんだけれども、聞いたところで理路整然とした答えなどは返って来ず、「ん?楽しいからに決まっとるやろ」と言われそうだ。京都を拠点とする彼らはこのビデオを撮影するために、撮影するためだけに「そうだ、鳥取砂丘行こう」と思い立ったが最後、「行かんの?行ったら楽しいに決まってるやん」という言葉だけで車を走らせて行ってしまったのだと思う。そこでのパフォーマンスが本当に楽しそうだ。音楽は音を楽しむと書くわけで、そうであればこそ、こういう楽しむバンドが本当は一番なのかもしれないと思った。いやあ楽しい。で、彼らの名誉のために付け加えておきたいのだが、冒頭のシーン、夕陽を背にギターを弾きまくる人のシルエットが写る。長い髪が風に揺れ、情熱が画面から溢れてくる。長い髪が風にたなびくのと同時に、ギターの弦も風に揺れている。ん?弦が揺れている?切れとるや〜ん!こんな細かいところにも何かを込めようとするところに、彼らが何も考えずに楽しんでいるだけなのとは違うのだということは判る。人を楽しませるというのは、努力が要るものだ。そういうことをキッチリとやっている彼らは、いいバンドだと断言できる。
(2015.7.21) (レビュアー:大島栄二)
 


  ARTIST INFOMATION →
         
 


 
 このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てにメールをいただければ、修正及び削除など対応いたします。