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河野圭佑
『人間なんて』

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 なんだろうこのエネルギーは。比較的武骨なルックスのシンガーがピアノを弾いて人間讃歌をうたう。聴いててグッとくる。ハスキーな声は酒焼けなのではないだろうかと勝手な想像をするのは、彼ならきっと豪快に飲みそうだなあというこれまた勝手な先入観で、事実がどうなのかはまったくわからない。だが、たとえこのハスキーボイスが酒焼けだったとして、それで何の支障があろうか。腹の底から沸き上がるような声量と、その声量が生み出す絶妙なビブラート。語るようにうたうのに声量があるからインパクトがある。力がある。圧力がある。その圧力とインパクトで人間の弱さをうたう。だから、沁みる。声に浸ることは深い水の底に沈められるようなもので、よほどの力が無ければ水面に浮かび上がってしまう。でも力のある声によって水の底に沈められれば、毛穴のひとつひとつから否応無く声が身体に染み込んできて、細胞を震えさせられてしまう。そこにはルックスなどの介在する余地などなかろうと、僕は思う。こういうシンガーが無名のままでいるということに、絶望的な何かを感じるし、いや、もちろん男も女もイケメンやアイドルが愛でられることに異論なんて無いのだが、それだけで君たちの目は耳は節穴かと、こういう声に接すると、どうしても思わずにいられない。
(2015.12.22) (レビュアー:大島栄二)
 


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