早瀬優香子『サルトルで眠れない』 Next Plus Song月とミルクパン『朝のうた』

あーた
『各駅停車』

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 シンプルに、いい。特徴のある声はボーカルが生き残るための必要条件であるものの、この歌を聴いて胸に迫るのは声の特徴ではない。非常にシンプルだけど感情のこもるメロディと、強い意思を感じられる歌詞である。このビデオでは緑色の服を着た女性が電車に乗って物思いに浸っている。あーたというシンガーはこの人なのかなと思っていると、ピアノ弾き語りからバンドサウンドに変わった直後に赤い服のギターを抱えた人が歌っている姿が映される。そう、これがあーたさんだ。僕はこの展開を見て、ああ、この歌はあーたさんだから成立するのではなく、誰かがカバーしてもその人の歌として、力強さを失うことなく広がって、羽ばたいていける曲で、それを象徴するような二重性なのかもしれないと思った。歌詞の中でも「人は誰かと出会い必要とされ/認め合えて少しずつ育っていくから」と歌われていて、それはこの歌がどこかで誰かに出会って育っていく、そんな未来にもつながっているようにさえ感じる。最近僕の周辺では些細なことに躓き、些細なことだったはずなのに人生のすべての不幸のように苦しんでいる人が多くて、苦しい時代にはこういう傾向は強くなってくるのかなあと凹んだりもする。だからこそ、こういう歌は必要なんだと思う。音楽は売れればもちろん良いのだけれども、売れなくとも、これからますますその必要性は多くの人が感じていくはずだ。この歌はそんな時代に求められる歌として、強く遠くまで羽ばたいていってもらいたい歌のひとつだと思う。
(2016.2.8) (レビュアー:大島栄二)
 


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